2002年(平成14年)6月22目(土曜目) (2/4)
苦労楽しむ力生かす
 岡山で生まれ育った秋山は、本格的な演劇人をめざして大阪の大学に進学、一九八○年代、演出・脚本家として、関西の小劇場ブームの一翼を担った。しかし九〇年代に入ったころには「いつまでも若者や同世代だけを相手に、理屈っぽい話や不安、心の闇を表現していても広がりがない」とも感じ始めていた。
 大阪・天王寺にある一心寺という寺が開くエンターテインメントと説教を組み合わせた、ユニークな日曜教室の運営にかかわり始めたのはそのころ。ある日、ヒップホップダンスを演目に取り入れたとき、中高年の男女が二時間、踊りっぱなしだったという。「自分が中高年に持っていたイメージはかなり問違っていたようだと気づいた」カラオケなどで盛んな歌。体を動かすことへの欲求を満たすダンス。自分の得意とする劇。これを組み合わせられたらミュージカルじゃないかー。かくして「発起塾」の旗揚げとなった。
「バックバックバック」若かったころに戻る」ことをテーマにしたオムニバス作品。年齢だけを理由にリストラされるクッキーの売り子、古びて廃棄の危機にひんしたマネキン人形たちなどが主人公(写真=発起塾、以下同)