至極の梅干し     下里直行

    

            沖縄産    粟國の塩

 つい先日、沖縄「粟國島」特産の自然塩を、東京自由ヶ丘の自然食ショップから、知人の
ツテを介して手に入れることができた。
 500g/1,260円の超高価な代物で、指でつまんだ感触はネットリとして、まろや
かな甘みのある、淡い朱鷺色をした釜炊き塩である。
 この塩で漬けた梅干しを、無性に食べたくなって、物置か
ら漬け物道具一式を引っ張り出すこととなった。
 和歌山の南高梅(164個/6kg/8,169円)、粟國の塩(1.2kg/3,024円)、極上チリメン紫
蘇(7,163円)、35%ホワイトリカー(1,491円)。
 原材料の合計が、〆て19,847円(税込み)也。付加価値抜きで、一個121円とい
う高価なものとなった。
 下漬け二日目。上がった白梅酢を指先で舐めてみたら、まったりとして、ほどよい15%
の塩加減。至極の梅干しに仕上がること、間違いなさそうだ。
 現在、赤梅酢に浸かって熟成中。
 梅雨明けの土用干しが待たれるばかりである。
 八月中頃、この梅干しをビールのアテに、本誌本欄を読んでいる自分の姿を想像するだけ
で、口中唾液が溢れ出るのを止めることができない。
 なお、今すでに「せめて一粒でも・・・」との予約が殺到している。

  
       奈良県医師新報【第571号】(平成11年8月1日発行)より転載