タバコをやめたきっかけ
                                  奈良県医師会 下里直行 
 

その当時、ブリックマン喫煙指数が900を越えていた私は、平成8年10月20日(日曜日)の
『総選挙』での出来事をきっかけに、きっぱりタバコをやめました。
T候補者を応援していた私は、「バンザイ」に加わるため午後9時過ぎから、支援者でひしめく
選挙事務所に顔をだしました。
この夜はとても寒く、吐く息が月明かりで真っ白に見えました。
開票半ばで、ライバル候補に「当確」がでましたが、T候補者の票は伸び悩みの状況が続きました。
事務所内の苛立ちは最高潮に達し、灰皿という灰皿は吸殻の山となっていました。
月が中天にさしかかった頃、新鮮な空気を吸おうと外に出て見た光景に、私は慄然としました。
プレハブの窓という窓から、四角い形の噴煙が、数メートルにも及ぶ高さで夜空に向かって吹き
上がっていたのです
『こんな煙の中で、燻されていたのか・・・』
と、思った瞬間、私は禁煙を決意しました。
この日、T候補者は晴れて国会議員になったのですが、その後お会いするたびに、
「先生の議員年数は、私の禁煙年数とイコールですよ』
と挨拶させていただいています。
皆様がタバコをやめるきっかけとなったエピソードを、ぜひお聞かせ願いたいものです。

本稿は奈良県医師新報:2003.2(第613号)【平成15年2月T日発行】の『醫心伝心』欄に掲載されました