奈良県医師会 下里直行                      

 中高生や成熟期の女性にしばしばみられる不正性器出血に中間期出血があります。
 「生理(月経)が終わって一週間もたたないのに、また出血が始まった」というものです。
 次ぎの月経との中間に生じるのでこの名があります。
 普通は二日程度で自然に止血しますが、一週間以上あるいは次ぎの月経にまたがることが
あります。
 卵巣は卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という二種類の
ホルモンを分泌しています。成熟期の女性は、脳下垂体から指令をうけてこれらのホルモン
がバランスよく分泌されています。
 中間期出血は環境の変化やストレスなどでこのバランスがくずれて起こると考えられてい
ます
 黄体ホルモンを補充すると速やかに止血するのですが、次ぎの月経周期にも同じことが起
こりやすく、少なくとも三ヶ月は治療が必要です。
 効果がないからといって途中で薬を飲むのをやめたり、病院を替えたりしてはいけません。
かえって出血がひどくなることがあります。
 なお、医師が中間期出血と診断する場合、妊娠反応は陰性か、子宮癌や膣炎がないかを先
に調べます。
 素人判断で中間期出血と決めつけないでまず婦人科の診察を受けるようにしましょう。

 
       本稿は奈良県医師新報Vol.2000.10(平成12年10月1日発行)に掲載されました。