奈良新聞(平成13年8月2日版)掲載
 いかがですかあなたの健康  
でんぷう(癜風)=くろなまず=      県医師会 下里直行    
皮膚を乾燥させて清潔に
 梅雨の時期から夏にかけて、よく汗をかく若い人に多くみられる皮膚の病気にでんぷう(癜風)があります。
 からだの上半身、とくに胸や背中を中心に、五ミリから大きくてもコイン大、円形か楕円形、境界が鮮明な褐色の斑点をたくさん生じます。それぞれが融合して地図状の斑点になる場合もあります。
 皮膚が黒くなるので「くろなまず」といわれますが、反対に白い斑点になる場合(白色でんぷう)もあります。
 かゆみはほとんどなく、気づかず放置していて、色の変化を他人から指摘されて気づく場合もあります。
 もともとヒトの皮膚に常在しているマラセチア・フルフルと呼ばれる一種のカビ(真菌)が、何らかの原因で増殖することによって起こります。
 斑点の表面を注意してみると、フケのような細かな鱗屑(りんせつ=皮膚片)がみられます。これを顕微鏡で検査すると、たくさんの短い菌糸をみることができます。
 抗真菌外用剤(カビに効果のあるクリーム、液、軟こう)を約二〜三週間使用すると、一応軽快しますが、背中などは自分で薬を塗りにくいため中途半端な塗りかたになりがちです。さらに菌そのものが常在菌であるため、その後のスキン・ケアを怠ると、再発することがよくあります。
 夏場に多く発症し冬場に軽快するという特徴から、特に汗をかきやすい季節では、皮膚を清潔にし、乾燥した状態を保つように心がけましょう。
 なお、でんぷうと症状が紛らわしい病気もありますので、確実に治療するためには、早めに皮膚科専門医を受診した方がよいでしょう。
 

         (本稿は、平成13年8月2日:奈良新聞に掲載されました。)