ゴルフと健康      

  ゴルフとタバコ   
    奈良県医師会  下里直行


 広々とした景色、風の音、小鳥のさえずり、草木の香り、美しく整備された芝の
感触を体感しながらプレーするゴルフが、からだに有害と考えるゴルファーはい
ないと思います。
 一方、ゴルフをプレー中に、突然死する人が意外に多いことはあまり知られてい
ません。
 死因の多くは心筋梗塞で、高脂血症や糖尿病、肥満などの危険因子にくわえ、
プレー中の喫煙に原因があることが指摘されています。
 とくに、心理的なプレッシャーの大きい競技ゴルフやにぎりゴルフでは一層の注
意が必要です。
 数年前、奈良県で開催された日本オープンを観戦したとき、何人かの有名
選手がティーグラウンドやフェアウェイでしきりにタバコをふかし、しかも「ポイ捨て」
する光景を眼にしました。なかに、ジュニアの養成所を開校する若手一流プロも含
まれていて、がっかりした記憶が残っています。
 今の世の中、タバコが健康に悪いことを知らない人はいないと思います。
 肺、喉頭、食道、胃、膀胱、子宮、乳房など、あらゆる癌の発生を助長するだけ
でなく、循環器、肺気腫など呼吸器の病気、妊婦や胎児への悪影響などが医学
的に明かにされています。
 「広々とした緑の中での一服」、「ナイスショットをしたあとの一服」が大きな
楽しみであり、精神的な慰安であることは理解できなくもありません。
 しかし、からだに有害なタバコを吸いながら、健康を増進するためのゴルフをする
というのはどう考えても矛盾に満ちています。
 ゴルフライフをより永く楽しもうと思うのであれば、どんなに高齢になってからでも
、また、自分の健康のためだけでなく、大切な家族や次世代をになう子供達のため
にも禁煙することをお勧めします。
 本稿は阿騎野ゴルフ倶楽部季刊誌「阿騎野」Vol.7(平成13年10月発行)に掲載しました。