【Cinema Holiday】 結構ケナしてばかり? 誉めてる映画はまた後で | |
=この夏見た映画の感想など:その1= | 1998/9/23 |
どうも、最近、台風が帳尻を合わせるようにバタバタとよくやってくるが、ひとつの台風が去っていく度に少しずつ涼しくなってきた気がする。もう秋だなぁ。
今回は、僕がこの夏にみた映画の感想を何本か書いて見たいと思います。
ステーキとお茶漬けはどちらもうまい?
まずは、『Godzilla』だが、これは前にも書いたとおり、それなりに面白かった。決して世間の皆様が罵るような駄作ではないと思う。勿論、私は怪獣ファンでもなければ、日本ゴジラのファンでもないので、こういう意見になるのかもしれないが、僕は、この作品をいろんなシガラミから独立させて見ようと努力しているので、そっち方面からの批判は御勘弁願いたい。
でも、『スウィート・ヒアアフター』を見た後なので、やっぱり駄作ではないかともチョビっと思い始めている……(『スウィート・ヒアアフター』のレビューはコチラ)
インパクトはなかった
次は、結局『Godzilla』を圧倒して夏一番の大ヒットとなったスピルバーグ・プレゼンツ『ディープ・インパクト』。うーーん、はっきり言って面白くなかった。『Godzilla』よりも面白くなかった。
敗因の一は、ストーリーが全く整理されていないこと。主人公は隕石落下をスクープする女性キャスターなのだが、他に隕石の第一発見者の少年やらその恋人やら家族やら、隕石を爆破しに行くパイロットや、加えて合衆国大統領にキャスターのママや別れたパパまでが咲き乱れて、それぞれの話が展開するもんだから、どの話も細切れで、焦点がぼやけてしまっている。隕石落下という有史以来最大の人類の危機に各々のエピソードをつなげたいという気持ちは分かるのだが、あの量のネタを2時間で描くのは到底無理。
ハイライトは、言わずと知れた隕石の落下と大津波の特撮シーンで、ここだけはさすがに大したもんだったが、「いやぁ、凄かった」でオワリ。同じ特撮でも『タイタニック』のような、特撮であることを忘れさせるストーリ・パワーがない故に、感動も半減である。結局、特撮のためにのみ存在した映画と言わざるを得ない。エンディングは『さらば宇宙戦艦ヤマト』みたいだったし……
お前が馬鹿だからと言われればそれまでですが
さて、前半の部最後は、ありとあらゆる映画評論家が絶賛する『L.A.コンフィデンシャル』。「何とか批判してやろうと思って見に行ったが、傑作と見とめずにはいられない出来だった」という評もあったので、それでは映画評論家ではない一介の映画ウォッチャーが、敢えて少しく批判してみよう。
まず、最初の警察署内での暴行シーンが、説明不足でよく理解できない。構成としては、このエピソードによって、刑事5人それぞれのキャラクターを際立たせようとしてるのだが、何だかいろんな人が暴れまわっているシーンの連続で、見ていてサッパリその意図が伝わってこなかった。
だもんで、次に出てくる悪役の大金持ちやキム・ベイシンガー扮する高級娼婦と刑事との会話が、これまた何を言いたいのかよく分からず、やたら思わせぶりに聞こえて仕方なかった。
もうひとつ不満だったのが、この作品のストーリーの中心となる殺人事件の犯人が一旦捕らえられるクダリで、それなりの説明はされているのだが、いかにも理論構成が甘い。見ているこっちが「オイオイ、それでほんまにソイツが真犯人やと思うんかい?」と思わず言ってしまいそうになる流れなんである。 もっとも、「ここでいかにも簡単にカタがついてしまうから、中盤・後半にかけての真犯人探しと、それにまつわる人間ドラマが面白くなるんじゃないか」という反論がありそうだが、僕に言わせれば、仮犯人(?)の逮捕過程に説得力がないと、かえって後半がウソ臭くなるんだと思う。大胆に言ってしまえば、この映画は真犯人を捜査し始めるところまでの1/3がいらないんである。
見終わっての感想は、深い溜め息(いい意味、でのね)を漏らさすだけの快作ではあったので、余計に長い導入部が不必要に思えてしょうがなかった。
俳優陣は、見事の一言。特に出世のことしか頭にない(という風に最初は描かれている)エリート刑事エクスリーが徐々に変貌していく様を演じるガイ・ピアースは素晴らしい。ただ、キム・ベイシンガーは、その役の重要性が薄いせいか、今一つ印象に残らなかった。これだったら、アカデミー助演女優賞は、『タイタニック』の老ローズ役を、その無数の皺よりも深く演じたグロリア・スチュワートにあげた方が良かった。