「センチピードグラス」は生物多様性や生態系に被害を与えるのか?

 「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」H17(2005).4.1施行
 目的は、海外から我が国に人為によって導入される外来生物による我が国の@生態系、A人の生命・身体又はB農林水産業に係る被害を防止すること。
 法の被害区分をつかうと、A人の生命・身体被害を除く、@生態系とB農林水産業に係る被害に限定されます。
B農林水産業
 直接利用場面の水田畦畔では、水稲斑点米カメムシ類の寄生、田面への侵入、畑期間のほ場侵入、隣接農地への伸長が懸念されます。カメムシはこちらのページをご覧ください。
 ランナーによる畦畔以外への侵入、伸長は、水の中では伸長しないこと、畑期間の侵入ランナーは耕起・湛水によって枯死すること、隣接農地へは、用排水路を越え難いこと、農道は未舗装ですと、隣地へ伸張する可能性がありますが、すでにある植生を駆逐してまで伸張しないことから、これまで問題となっていません。
 稔実種子は、小動物やアリの餌とはなりますが、自ら又は鳥や小動物によって植生地以外に飛散することは確認されていません。
@生態系
 生態系への被害は次の4つ等とされ、ア、は該当しないと考えられます。
 イ、ウは、耕地に含まれる畦畔という人為的な利用場所に限定して植栽し、植生を維持しているだけであることから、耕地で有用な作物を栽培することと同様であって問題とならないと考えています。
 エの交雑については、今のところ未確認ですが、在来の近縁種がノシバ、ギョウギシバであれば、その可能性は低いと考えられます。
 ア、在来生物の捕食
 イ、生息地若しくは生育地又は餌動植物に係る在来生物との競合による在来生物の駆逐
 ウ、植生の破壊や変質等を介した生態系基盤の損壊
 エ、交雑による遺伝的攪乱 
 今後政令で生態系等に被害を及ぼす外来生物に指定される可能性はゼロではありません。
 しかし、上記のセンチピードグラス性質を踏まえた上で、中山間地域はもちろん今後政策的に施策が集中されようとする大規模経営にとっても、大きな負担となっている水田畦畔管理負担の軽減はますます必要とされることから、センチピードグラスの利用は社会的に許容されると考えます。
 なお日本緑化工業会の「生物多様性保全のための緑化植物の取り扱い方に関する提言」 での整理も参考になります。

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