妻が朗読ボランティアをしている図書館で2冊の絵本を借りてきた。息子が三歳〜四歳のころ、会社帰りに駅前の書店であれやこれやと見比べながら選んだ『クマタくんシリーズ』である。最初はさすがに私が読み聞かせた。読んでいるうちに息子は眠ってしまい、しめしめと私はパチンコに行ったりしたのが懐かしい記憶である。このシリーズはほとんど買った、たしか七〜八冊あったのではないだろうか、そのうちに自分で読むようになったと妻は言う。
もう少し大きくなると、ポプラ文庫だったと思うが、怪盗ルパンや怪人二十面相あるいは世界子供名作全集とか何とかいうのも次々と買ってきては一緒に読んだ。そのうちに少し読めるようになってくると、右のページを私が読むと、左のページは息子が読む、そんなルールで読んだ時期もあった。「ルドルフとイッパイアッテナ」は息子の“読書”の最後の頃の本だったと思う。その後は進学塾の教材に取って代わられてしまった。
子供が幼い頃は親も童心に戻れる時期であろう。写真の絵本をパラパラと拾い読みするうちに、立ち尽くして読んでいる自分に気付いて苦笑いである。懐かしい絵本は子供の思い出であるとともに、遠く過ぎ去った自分自身の若い日の思い出に重なる。