これで良かったのかな…
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税理士会の支部長を務めた税理士が脱税で逮捕された。新聞記事によれば、3年間で約2億3千万円あった所得を1億5千万円圧縮したという。彼の預貯金は親族の名義のものも含めて約17億円というから驚いてしまう。ただ、その手口はというと売上の除外、架空の事務の発注、架空経費の計上と新聞紙上を時に賑わせる脱税の手口と何ら変わらない。所得の隠蔽率65%。手法の稚拙さと手口の大胆さ、そして容疑を認めているという潔さ、私にはさっぱり理解できない。玉川上水、「朝に祈り夕べに感謝2」よりお借りしました。

顧問先数約200件、所員は10人ほどいて、その中には税理士もいるというから、堂々たる大事務所である。夢子さんに手伝ってもらいながらも、ほとんど一人でやっている私とは天と地以上の差がある。もちろん一生懸命仕事はしているつもりであるが、営業力の不足は如何ともしがたいし、まあこんなものだろうと割り切っているのだから、当然のことであろう。おまけに「自分のスタンス」を守らねばとか何とか言っては、この一〜二年で四件の顧問先を切り捨てているのだから、それ以上何をかいわんやであろう。夢子さんからは「商売っ気がないんだから」といつも嘆かれている。

私事ながら息子が先日公認会計士3次試験の受験を終えた。親馬鹿かもしれないが、ここしばらくはよく頑張っていたと思う。会計士といえば監査法人の代表社員が逮捕されるという不祥事が耳に新しいし、一昨年だったか、若い会計士が自ら命を絶つという痛ましい事件があったのが思い出される。そしてそんな犠牲者を出したことは一顧だにされずに企業と監査法人の腐れ縁はそのまま続いていたということのようである。何処の世界も困ったことである。

そんな方たちとは無縁の世界にいて、いわゆる成功という言葉とは程遠い自分自身の現在の姿ではあるが、それだけに違法な行為に走る恐れもなく、自分の信念だけを尊重すればよいというこの道がやはり一番合っていたのではないかという安堵の気持ちはある。私の背中をどう見たのかは知らないが、私の職業の延長線上にある仕事に就いた息子を見るにつけ、これで良かったのかなと少しほっとしている。ただ弱小事務所を継がせるつもりもないし、息子にそんな気もない。ということで、まだまだ私は身体の続く限り頑張らねばならないし、夢子さんの叱咤激励は続きそうであるが、私には居合とお酒という強い味方がいてくれる。

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