五十の手習い
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 昔勤めていた頃、同僚、先輩とよく麻雀をした。あるとき一人の先輩が「賭けずに、一日楽しく、安く楽しめるのは囲碁ぐらいだよ」と教えてくれたことが永い間、頭の片隅に残っていた。私も五十代に入りこのまま何の趣味ももてないまま歳はとりたくないなあと思い、意を決して先月から隣町の囲碁教室に通い始めた。

 いわゆる五十の手習いそのものである。今のところ相手の石を囲めばその石をとれること、陣地の広さを競うゲームであることがわかっている程度であり、どうなったら終局なのかもまだよくわからない「超」初心者である。でも打てるようになればきっと楽しい世界が待っていると思う。

 ある日オバサンと対局した。「私ね、もう1年ぐらいやってるんですけど、全く上手くならない落ちこぼれなんですよ。アッハッハッハ」と何とも楽しそうに話してくれた。「うまいこと囲んで石とりますね。」とかなんとか私を笑わせながら、終ってみると三十目ほどオバサンの勝ちであった。何年か前に朝日新聞の俳句か川柳の欄に見かけた句に「悩まずに今を楽しく趣味に生き」というのがあり、気にいって机の前に書いて残してある。オバサンをみていてその句を思い出した。

 人間は仕事と趣味の両輪で生きていくくらいの方がバランスがとれて精神衛生上はいいのだろうと思う。囲碁に加え来月からはまた居合道のほうも復帰しようかと考えている。ただお酒という趣味(?)のほうは少し減らさねばならないかと「悩んで」いる。 H15/6

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