大切なことは
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 「再建は現実になった」…日産自動車のカルロス・ゴーン社長の言葉である。2003年3月期の連結決算の見通しが売上高、利益ともに過去最高を更新したのだそうである。ルノーとの提携時にあった2兆1000億円の有利子負債も完済したという。とくにこの有利子負債の完済ということは物凄いことだと思う。いわゆる利益・資金ともに文句ない決算ということになるのだろうと思う。 御堂筋の日本銀行大阪支店

 会計・税務関係の仕事に長く携わっていると、社会資本を使用して経営を続ける限り損失を発生させることひいては倒産をしてしまうことはやはり社会悪だと思う。経営を続ける限り一定の利益は必要条件だと思う。ただ決算書はあくまでも永続性を前提とした一定時点での企業の姿を示すものに過ぎないともいえる。

 そしてそこには企業・経営者の思想が表れる。大切なことはその企業の営業活動がいかに社会に貢献しているかということであり、利益もそのためにどのように生かされるかということである。

 劇作家の山崎正和氏が朝日新聞で「失われた10年どころか大進歩の10年だ」と述べた。つまり「モノを買って大量に捨てる生活にみんな飽き飽きしている。お金を使わないから不景気にもなる。日本でこの文明的変化が先鋭的、先進的に表れている。」と仰っている。このような意識の変化が進行していくなかで、企業及び経営者は社会が求める企業の在り方、進むべき方向を模索してほしいものであり、決して売上・利益の増大のみを社会的責任の指標にはして頂きたくはない。 H15/5

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