「家族」のあり方
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 息子の友達の父親はマンション買替後ほとんどすぐに東京へ単身赴任。かれこれ三年になる。現在も三人家族がバラバラに暮らしている。学生時代の同期のものも年齢のせいもあってか単身赴任が多い。近年別に珍しくはないことだが、かといって家族として本来の暮らし方ではないように思う。 やはり家族は一緒に住み、朝食・夕食は一緒に食べる。それが自然な姿ではないかと……。そういう平凡ともいえる「家族」のあり方を企業の多くは否定しているように思えて仕方がない。

 私事であるが、一時期「経済社会」から弾き飛ばされた時期があった。自分の意志からとはいえ、まわりの人が皆自分より裕福に見えて落ち込んでしまった(本当にそうだった)。しかしそういう経済的な代償と引き換えに家族とともに共有できた時間は今となっては何ものにも換えがたいものに思える。現代の複雑な社会で生きて行く以上、自分の願望をすべてかなえることは難しい。とすれば何かを犠牲にせざるをえない。その中で大切にすべきもの…それは各人、各家族の人生に対する考え方だろう。

 来春息子も社会へ巣立つ予定であり、将来は家族を構成していくはずである。自分達夫婦の生き方をどう見てきたかは分からないが、どうも私の行動の良くない部分だけは着実に身につけてしまったようであり、その点だけは妻から言われているようである。「気をつけなさいよ。お父さんの血をひいてい るんだから……」。 H14/4

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