霞立つ永き春日に鶯の
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 「霞立つ永き春日に鶯の鳴く聲きけば心は和ぎぬ」 … 良寛

”厳しい冬を堪えしのぎ、風邪で一時はこれで終わりかと思うような心細さを体験して、ようやく春にめぐりあえた。日は長く、あたたかく、鶯までが鳴いている。これ以上に幸福な時があろうかという、その心持ちがわかる人にだけこの歌は語りかける。”  …… 中野孝次「風の良寛より」

何一つ不自由を感じることのない現代の日本人からすれば、何だそんなことと思うようなところに良寛は素晴らしい幸福感をもつことができる … 羨ましいことです。

しかし良寛は普通我々がしがみついている様々のものを「棄てる」ことができたからこそ、「心は和ぎぬ」の心境を得られたわけです。現代日本にはありとあらゆるものが溢れています。「棄てる」ことは非常に難しく勇気の要ることです。せめてふりまわされずに、本質を見失わずに生きていきたいものです。

H13/2

追伸

この号を書いた頃、私は退院した直後でした。前年秋に胃にポリープが見つかり、正月早々入院して少し太めの胃カメラでとってもらいました。入院中は規則正しい生活と禁酒(当たり前?)のためか、少し体重が減り喜んだのですが、一時的なことでした。妻はいろんな保険の保険金やら入院給付金やらが結構入ったこともあってか、ホクホクでした。妻の顔が●●マスミのように見え、しばらくはカレーは食べませんでした。

入院の翌日に胃カメラ、その翌日に本番の胃カメラ、あくる日には確認の胃カメラと続き、さすがにもううんざりしました。とくにその頃はあまり麻酔が効かず、ポリープをとっている間中、ボォーッとしていました。担当の女医先生に「これからとるからね」とか「全然麻酔効かなかったね」などと言われてしまいました。

。そしてその翌朝目覚めてボォーッとしているときに「ああ、今日は何もないんだ」と思うと、本当に気持ちが安らかになりました。ところが一日二日立つうちに、正月に買っておいた「極上白鷹」が無性に飲みたくなりました。私は到底 良寛 にはなれそうにありません。所詮 ヌル燗 ですから。

H16/9

 

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