「食う寝る坐る 永平寺修行記」
ホーム 上へ そして怖くなった

 

近江の風景

 「食う寝る坐る 永平寺修行記」という文庫本を読んだ。サラリーマンであった著者が出家して永平寺の門をたたき、許されて修行した一年間を振り返ってその様子を綴ったものである。それは悟りを得るために…などというソフトな生活とは程遠く、起床から就寝まで間の行動すべてにわたり「正法眼蔵」に道元が定めた作法どおりに行なうことが求められる非常に厳しい修行生活だったようである。そのため入院したり、耐え切れず脱走したりという例が毎年何人もでるのだそうである。またその生活は単調極まりないそれこそ「食う寝る坐る」日々の連続であったようである。そしてその単調な日々の繰り返しの中で著者が「体で感じた一つの答え」は次のとおりである。「生きるということから余分な付加価値をすべて削ぎ落として考えてみると、無闇に心を悩ませていた多くのことが忘れられた。まず、このただ生きているという事実を無条件に受け入れ、そしてその生を営ませている日々の一瞬一瞬を大切に生きる」

 体で感じとった答えはその人にとって強い。「余分な付加価値」を捨てること自体私にはとても難しそうだか゛、私の場合むしろ余分な贅肉を削ぎ落とすことから始めるべきなのかもしれない。

H13/10

 

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