これは「ノベル」を得意とするFC01の本領発揮と言える作品です。
いや〜、久しぶりにこう言うテーマの作品で秀作に会えましたヨ(^^)
そう言えばこれの前に出会った作品もFC01の
「木漏れ日の並木道」だったナ〜・・・。
こっちのレビューは「ティターンズの作戦会議室」に掲載していますので、
宜しければご覧下さいm(_ _)m
実際「生死」をテーマにした作品って「現実離れ」した物が多いんですよ。
「いやっ!あなたと離れるなんていやっ!」
「僕だっていやさ!だけど・・・」
「何も言わないで!私を見て!」
「○○ちゃん!!」
(ヒシッと抱き合う2人、そしてHシーンに)
・・・君達世の中なめてます?
そしてこう言うシナリオを書くライターの方は
本当にこれで良いと思ってます?
こんな「現実を見てないシナリオ」じゃ感情移入出来ないって・・・(泣
私は「ファンタジーの世界」に生きているんじゃなく、
「現実」の中で生きてるんですヨ・・・。
「今まさに死を迎えようとしている人間」なら、
他にもっとやる事も感じる事もあるでしょうに・・・。
そこに登場するのがこの作品です。
F&Cで初めて「I’ve」を音楽に起用した作品と言う事で少し話題になりましたが、
「DOORS MUSIC ENTERTAINMENT」の大ファンである私は
全く興味は無く、当初は完全に回避していた作品でした。
ところが「これは泣ける!」との噂を耳にして、
「今年は1本も泣きゲーに会えなかったから、最後に行ってみるか」
と半ば投げやりな気持ちでプレイしました。
それ程に2003年は個人的には「アタリ」の無い年だったんです。
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この作品の成功の鍵は「プロモーション戦略」でしょう。
OHPでの紹介でもあまり多くは語らずに、
つまり「肝心な所」は伏せたまま発売した所です。
「購入者」は何の予備知識も(結果的に)無いままプレイする事になり、
その「真意」を知った時に衝撃を受ける事になる訳です。
この手法は私の殿堂入り作品「家族計画」でも使われましたが、
購入した人にはとても効果的です。
・・・そう、購入した人には・・・。
危ない橋を渡りますね、F&Cさん。
私みたいに興味を惹かれなかった人がずっと回避してたら、
一体どうするつもりだったんですか・・・(^^;
あっ!だから「I’ve」なのか!
「I’ve」と言うだけで購入する人がいるから、後は口コミでと・・・。
そう言えば「家族計画」も「I’ve」だったな・・・(笑
だとすれば、私はそのパターンに綺麗に嵌った事になりそうです(^^;
どうせ嵌ったんなら、徹底的に嵌りましょう!
私はこの作品を応援しますよ!
・・・・・
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と言う事でこの作品のレビューに入る訳ですが、
まずスタッフ紹介から・・・
プロデューサーは「源之助」様
ディレクターは「弥七」様
原画は「しゃあ」様
皆様最近のF&Cの屋台骨を支える方々です。
(正確には「Tacet」の方も混じってますが(^^;)
逆に言えば、「F&Cなんて大嫌い」と言う方は、
ある意味この方々のゲームが嫌いと言う事です。
でもご安心下さい!
シナリオの「健速」様がいます!
「甘ったるいシナリオなんか書けね〜ゼ!」
とばかりに、いつも「スパイス」を利かせた内容で攻める方です。
今回はほとんど「立ち絵」と「背景」で進んでいく内容で、
イベント絵が少ないのでこの作品の魅力は、
ほとんどシナリオによるものです。
「I’ve」の曲はいつも通り「OPとEDに全てを賭ける!」と言う感じで
ゲーム中のBGMは正直な所印象に残りませんでした。
ただその「OPとEDの曲」は素晴らしい出来栄えで、
久しぶりに「I’ve」の実力を見せられた気分です。
詳しくは「おまけコーナー」で書きたいと思います。
それではいよいよ具体的なレビューに入ります。
まずは初期設定からですが、
舞台は現代日本、主人公は(1点を除いては)普通の高校生。
彼には同級生の「幼なじみの男女」がいて、
両親が他界して一人っきりで生活している今の現状を
彼らに支えられて前向きに生きていると言う設定です。
そこに現れた「可愛い吸血鬼」のヒロイン。
(吸血鬼である必然性は後に分かる事になる)
彼女を受け入れた主人公は今までと少し違う日常を送る事になる・・・。
あの〜その唐突で脈略の無い(と思ってた)設定はなんですか?(^^;
当初私が「回避」したのは正にこの設定の所為です。
「君が望む永遠」のレビューで書いた通り、
私は「初期設定」をとても重要視しています。
その為この「脈絡の無い(様に見える)設定」を見て
すぐに「回避」を決定したのです。
だってイキナリ「吸血鬼」ですよ「吸血鬼」!(←2回言うな
私がそんな作品を買う訳ナイじゃないですか!?
・・・と、ここから「プロモーション戦略」に嵌った訳です(^^;
次にシナリオの検証ですが、
この辺りから「ネタバレ」をしない様に書くのが難しくなってきます。(汗
いっそ「ネタバレ」で書いてしまおうかとも・・・。
・・・いやいや、それは私のポリシーに反するのでやめておきましょう。
シナリオは主人公が抱える「とある事情」の為に、
終始一貫して「テーマ」を追いかけるので、とても素直です。
「起承転結」もしっかりしており、読んでいて不安なく引き込まれます。
ただ、「各キャラシナリオ」の内容が薄く、
メインヒロインを除くシナリオの大半が「共通パート」なのが
この作品を「名作」から遠ざけています。
この辺りが「いつものF&C」ですね(^^;
ホントに「もう一ひねり」があれば「名作、大作」になるのにナ〜。
それこそ、「手軽に遊べる作品を作る」と言うF&Cのポリシーかもしれません。
でもその所為で「次席作品」にせざるを得ないのも事実です。
それでは最後にストーリー展開を見ていきます。
途中まで「初期設定」で書きましたが、
「吸血鬼」であるヒロインを受け入れて一緒に住み始めた主人公でしたが、
今まで吸血鬼に対して持っていた「先入観」を覆されて、
例えば「吸血鬼は日光に弱い」と思っていたのに実は
「日中は普通の人間と変わらなくなるので、安全の為出歩かないだけ」
だと知って驚いたり(注:このゲームではそう言う設定になっている)
している内に、隣に誰かが居てくれる喜びを思い出して
次第に心惹かれていくのですが、
彼は「とある事情」を抱えている為に
周囲と距離を置こうとしていた所でした・・・。
と言う感じのストーリーです。
実はこの作品の大半の部分は、その「とある事情」からくる
主人公の心の葛藤を描いるので、「ネタバレ」なしで書ける事はほとんどありません。
ただ、その「心の葛藤」の内容や「物の感じ方」「考え方」などが
見事に描写されていて、とても共感出来ます。
そして「不幸な境遇」にあっても「自分を見失わずに生きていこう」
とする主人公の姿勢に胸打たれる訳です。
・・・だめだ、どうやってもこれ位までしか書けない・・・。
それでは最後に私が「ホロッ」ときたポイントを書いておきます。
それは主人公がヒロインにアクセサリーをプレゼントしようとして、
入った貴金属店のオーナーと主人公のやり取りです。
主人公の現在の境遇を見抜いたオーナーが勧めたのは
「一粒のダイヤが光るプラチナ台の指輪」
更には「この指輪には今の所半分の価値も無いから代金はいらない」
「次に来られた時にまとめて頂きます」
と付け加えてきます。
何の事か分からない主人公に対して、そのオーナーは
「今日は久しぶりに良い商売が出来ました」
と晴れやかに言います。
事の真意はぜひ皆様ご自身が確かめて下さい。
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「思い通りに生きるのは難しいね」
作中でヒロインはそう言います
思い通りにならない他人
思い通りにならない人生
でも一番思い通りにならないのが
「自分自身の心」
その答えを彼の友人は知っています
「来年までは待てないぜ」
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