Vie−いつかの夏の日。
Sweet Basil
’01/03/09 発売
隠れた純愛ドラマの名作
この作品は主に「陵辱系作品」で有名なフライングシャイン製作の
珍しい純愛ストーリーです。
原画「みんめい」シナリオ「KeN」と言って純愛を連想する人はいないでしょう。(笑
私も最初は気付いていなくて、最後のスタッフロールで「え゛っ!」となりました(^^;
・・・実はスタッフクレジットはOPにも登場しているのですが、
この当時の私はOPは飛ばして見ない方だったんですよネ〜あはは〜・・・。
スタッフの皆様スイマセンm(_ _)m今は見る様になり、更正しました。
だってだって聞いてヨ〜。(←既に子供
いくら僕でもさぁ〜普通なら「みんめい」さんのCGなら分かるヨ〜。
でもねでもね、この作品のキャラデザインはかの有名な「CARNELIAN女史」だったの〜。
これなら気付かなくても当然だよネ♪
「ゴキャッ!」(←嫌な音
すいませんでした、私が全面的に悪かったです。



と、言う事でこの作品は一流のスタッフで製作されたものです。
実際「一流」の名に恥じない職人達の意気込みがこの作品には詰まっています。
それはレビューの中で書くとして、まずはCVのキャストから伝えます。

主人公の幼馴染で世話好きの看護婦見習い「桐嶋夏生」に森川陽子さん
入院中に知り合ったバスケ好きの女の子「相原早紀」に藤澤暁さん
入院先の看護婦でのんびりおとぼけの「迎留美子」に桜井翔子さん
ちょっとHな調剤師「江口泉」におぼれ谷リアスさん
何故か病院で1人で遊んでいる女の子「桜野あすか」に北条明日香さん
看護婦の制服を狙っている変わった女の子「星野優」に菜月すみれさん
主人公と同じバスケ部の同級生「栗橋美都」に藤代奈央さん
入院先の医師で夏生の姉「桐嶋理恵子」に白井綾乃さん

当時としては実に豪華な顔ぶれです。
どのキャラでも「声はこの人しかいない!」と言う位ハマっています。
これぞ正にプロの仕事と言うものでしょうか。
それほど長くないこの作品で、それぞれの方が存在感を伝えてきます。
「フラシャ」特有の全画面ノベルを忘れさせる程の演技のお陰で、
画面に広がる文字が気にならなくなる程です。

それでは初期設定から見ていきます。
舞台は現代日本。主人公は高校3年生のバスケ部員。
彼は夏休み直前のある日の朝、
ランニング中に反対車線の歩道から呼び止められた。
そして見知らぬその女の子は自分目掛けて走りだす。
そこに呑気なトラックが!!
女の子を助ける為に飛び出した主人公は、はねられるのは回避したものの
バンパーに服を引っ掛けられて怪我をして救急車のお世話になる。
そして入院した先が幼馴染の実家が経営する「桐嶋病院」だった。
丁度バスケを続けるかで悩んでいた主人公は、
治療中にゆっくり考えようと思うのだった。
そこで出会う人々との様々な心の交流の物語。
と言うのがあらすじです。

あらすじでお気付きかと思いますが、この作品の舞台は
病院と言う閉鎖された特殊な環境のみで展開していて、
更に追いかけるテーマは「心の交流を通じて主人公がやる気を取り戻す」
と言う一点に絞られています。
そしてその入院期間は最長で1週間となっているので、
とても明瞭簡潔に物語が進行する仕組みになっています。
その所為で全体が味気なくなっているかと言えば、そうでもありません。
期間が短い為に最初から「一点狙い」でしかヒロインを狙えないので、
散文的な内容にならずに済んでいて、かえって好印象です。
少し急ぎ足の印象も受けますが、概ね狙い通りの仕上がりだと思います。

次にシナリオですが、
前述した通り、とても素直でありながらも
共通のテーマに対してヒロインの人数分の解決策を提示しています。
そしてその内の半数がヒロインからの要因。
あと半数が「病院」と言う舞台を活かした内容になっています。
言い換えれば、前者は主人公とヒロインの関係が重要になっていて、
後者は病院だからこその起因と展開になっています。
この辺りのバランスがこの作品のポイントになっています。
どちらにも偏る事無くシナリオを構成する事で、
お互いのシナリオが引き立てあう様になっています。
そのお陰で一本調子のシナリオにならず、
結果的に8通りの回答をうまく表現出来ている訳です。
それぞれのルート1つずつは短めなので、
全体で1つの「パラレルストーリー」として見るのが正解でしょう

最後にストーリー展開を見ていきます。
ココでは「泣き」と言う観点から「早紀シナリオ」にスポットを当てたいと思います。
このストーリーは実は私も好きな「DoNoR」のテーマの1つにもなっています。
前述した内容の内の「病院だからこそ」に当たるストーリーです。
ちょっぴりネタバレですが、私は「尊厳ある死」をテーマに掲げた作品で、
真正面からそれを受け止めた上で暖かいEDを与えているものが好きです。
この作品の他には「加奈〜いもうと〜」が挙げられます。
このルート以外のシナリオは決して「泣き」では無いために
ココでは次席作品として紹介していますが、
少なくともこのシナリオの泣きは確実で他にも引けは取りません。
私このEDでボロボロ泣きました(^^;
「生きていた事の証、生きている事の意味」
そう言ったものをぎっしり詰め込んだ上で、
直球で投げかけています。
そこには悲壮感は無く、精一杯生きた爽快感さえ感じます。
「確かにあったかけがえのない日々」
それは長さでは無く、質なのだと伝えてきます。
そしてその事を語り過ぎず、また語らなさ過ぎる事なく
伝えてくる簡潔なシナリオ・・・。
コレで泣くなと言うのが無理と言うもんです!(笑

人気作、話題作となる事の無かった作品ですが、
私の心にはしっかりと残っています・・・。




死は誰の元にも平等にやってくる

生あるものなら避け得ない宿命だ

だからこそ精一杯生きる

がむしゃらに頑張って

そして叶うならば

あなたに覚えていて欲しい

私の心を・・・