DoNoR
rouge

02/03/08 発売

テーマ、内容共に「超大作」な完全ノベル

最初に言っておきましょう!
これは「ゲーム」ではアリマセン!!
最初から選択肢など存在しない「完全な読み物」です!!
さすがの私もこれには驚きました・・・(^^;
た、確かに何処にも「ゲーム」とは書いてないですよ!
だからと言って「コレ」を「ゲームソフト会社」から販売しても良いのだろうか?
当然購入者は「ゲーム」だと思ってるハズなんですが・・・(汗
「消防署の”方”から来ました」と言ってるのと同じに見えます。
知らずに購入して気に入らなかった方はご愁傷様です(爆

・・・と言う事で、私はとても「お気に入り」だからココに名前を出している訳ですが、
こんな「問題作」は他には知りません。
内容の事ではなくて、他にも「ノベル嫌い」の方がダメ出しするポイントが・・・。
それは、「長さ」です。これは開発の「フライングシャイン」が、
「教室シリーズ」「WAM」等で使っている「多視点型ビジュアルノベル」の為で、
平行時間軸で、どのキャラがどんな事をしているかを順番に書いていく為
登場人物が増える度に書く事も増えていって、結果的に
「キョ〜レツに長い超大作」になっています。
12月17日から25日までの9日間の出来事を読むだけで、
本当に9日間ぐらいかかってしまうのはネタではアリマセン(笑
私としては「WAM」でこのシステムに出会ってからずっと好きでしたから
問題ありませんでしたが、一般的には好まれないでしょうネ(汗



それでは、その「キョ〜レツに長い作品」を順に見ていきましょう(^^;
まず初期設定からですが、
舞台は近未来の東京。
この世界では「バブル景気」がずっと続いて
日本が繁栄の極みに立っている設定です。
そして、この作品には2人の主人公がいます。
2人共「探偵」であると言う共通点がありますが、
1人は東京で私立探偵をしている「竹島 将一」
もう1人はロスアンジェルスの探偵事務所に所属する「川奈 双葉」
2人はそれぞれ別の目的で1つの組織を調べる事になる。
そしてココからがこの作品の本領発揮で、
登場人物の多い事多い事・・・(^^;
主人公2人を含めて、CGのある主要人物だけで総勢17名!
台詞だけのチョイ役まで入れると数え切れず・・・。
この人数がそれぞれの立場で行動(考動)するのを、
それぞれの視点に立って事細かに描いていくのだから・・・(汗
うっ・・・こ、この展開はそのまま「EVE」じゃないか!

それでは、ココから「EVE」との相違点を軸に見ていきましょう。
まずシナリオですが、
2人の主人公が同じ時間軸に到達するクライマックス手前までを、
まず別章仕立てで完全に独立して見ていきます。
これは、「事件にはいろんな側面がある」と言う部分と
「登場人物が多すぎてストーリーがぼやけるのを防ぐ」と言う
2つの事柄を表現している所は「EVE」と共通ですが、
常に2人のシナリオを入れ替えてフラグを立てる「EVE」に対して、
この作品は「将一シナリオ」をクラ前まで見終わってから、
「双葉シナリオ」を最初から見るスタイルになっています。
これは賛否両論あると思いますが、私はストーリーが
ごちゃごちゃにならずに済んでいるので、これで良かったと思います。

そしてもう一つの相違点が「クライマックスの扱い」です。
クライマックスで2人のシナリオが交錯する作りは同じですが、
「EVE」がそれまでの流れで徐々に盛り上げていくのに対して、
この作品では別章になっている為に
「さぁ、いよいよだ!」と頭を切り替えて挑むスタイルになります。
ココに関しては私から一つ苦言がありまして、
前述した様に「異様に長いシナリオ」の為、
2章の「双葉」を見終わる頃には「何日か前」の「将一シナリオ」を
忘れてしまっていて、思い出しながら3章を読む事になってしまいます。
すぐに慣れるとは言えども、これは明らかにマイナスと言えます。
このスタイルにする事で生まれた良い点と悪い点・・・。
皆様の目にはどう映るでしょうか?

そして、「EVE」との最大の相違点が「テーマ」です。

ここからストーリー展開にスポットを当てていきます。
「ネタバレ」になるのであまり詳しくは書けませんが、
どちらの作品も「生命の尊厳」をテーマに掲げる共通点があります。
只、それに対する「とある技術」に関する扱いが明らかに異なります。
「EVE」では「それ」を絶対悪と位置付けているのに対して、
この作品では「必要悪」もしくは「人類の未来の為の技術革新」と位置付けます。
この背景には作品が作られた時代が大きく関係します。
「EVE」の頃には確立していなかった技術が、
この作品が生まれた頃には既に成功例が報告されていたのです。
つまり「空想の技術」が「実際の技術」になった為に、
必然的に扱いをより現実的にした方が自然な訳です。
シナリオライターの「KeN様」がそう考えたかは不明ですが、
結果的に見事に時代を反映したストーリーに仕上がっています。

そして最後に書いておきたい「共通点」があります。
それは、登場人物達の「心の強さ」です。
どちらの作品でも各キャラクター達は
それぞれの「立場と目的」をはっきり認識してひたすらに突き進みます。
決して後ろを振り向かないその姿勢は、
脇役に至るまで共通の認識になっていて
きっと見ているあなたの心を捉える事でしょう。

素晴らしい作品をありがとうございました。




「強さ」とは何だろう?

腕っ節の強さなのだろうか?

喧嘩が強ければ「強い」のだろうか?

本当の「強さ」とは「心」

「くじけない心」

「思いやる心」

そして「相手を認める心」

それらは自分が強くなければ持てはしない

誰かに勝る事よりも

もっと大事な「誰かを認める事」

その為に生きていこう

きっと「誰か」が認めてくれるから