週末恒例・大人の五体投地


2002年12月1日(日) 「背徳のカミソリ」

ワタシの婚約者のわんこはモノグサです。風呂は嫌い、パンツは履き替えない、
あまつさえトイレのドアは閉めない(でも、放尿シーンは見せてくれない)。まぁ確かにおかげでワタクシもモノグサでいられるので楽は楽なのですが。

わんこにとって楽ちんな長袖の季節。彼女は当然のごとく腋毛を剃ろうとしないのです。もともと腋の下のリンパ節を守るための腋毛なのだから、とか何とかどこで仕入れてきたのか、いっちょまえのことを言ってはお手入れをさぼるのです。そして彼女の腋毛は伸び続けるいっぽうなのであります。

さて先日。いよいよ明日は結納、というある秋の日でした。
「明日は振り袖着なあかんなぁ」と言うと、彼女は風呂場で腋毛を剃り始めたのです。やれやれ。これでやっと親に会わせられる腋の持主になってくれるか、と安堵感と共に腋毛を剃る彼女を覗き見ると…。

あ。ワタクシの「曲がる二枚刃」…

彼女の腋の下を遠慮会釈無しに這いまわる、ワタクシの「曲がる二枚刃」。
右へ左へ。上へ下へ。優しく掬うように舐めるように、自由自在に踊る…。
つるつるすっぴんになった彼女の腋の下は、少女の香りがしたのであります。

 続いて風呂に入り、カミソリをしげしげと眺めます。なんだか長い毛がカミソリの間からにょきにょき生えているのです。捨てようか、と一度はゴミ箱に投げ込んだのですが、思い直して…自分のヒゲを剃りました。

 5分前まで彼女の腋を這っていたカミソリが、今度は俺の鼻の下を這いまわっているのです。
イマ、スゴク、ワルイコトヲ、シテイルノデハナイカ…
イマ、トテモ、ヤラシイコトヲ、シテイルノデハナイカ…
思わずシモの毛もちょっとだけトリミング。

よし。
今度はコレで彼女の顔を剃ってやろう。
曲がる二枚刃の輝きが湯気を通して目にまぶしく感じた明日は結納という秋の日でありました。

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