週末恒例・大人の五体投地


2002年11月3日(日) 「口でするな」

まずは先週の「五体投地」をご覧下さい→コチラ



 …そういった顛末で、下腹部一面にできたナゾの水泡を抱えたまま、近所の泌尿器科に駆け込んだわけであります。

 その医者はもう見るからにオッチャンでありまして、安心するやら、がっかりするやら、だったのでありますが、そんなことはこの際どうでもイイのです。とにかく、この痛がゆさから一刻も早く逃れたい、ただそれだけだったのであります。

「ハイ、ズボンとパンツ脱いで。ココに横になって」
「あ、はい…」
 下半身さらけ出して診察用のベッドの上に。まさに「まな板の上の鯉」。もう逃げも隠れも出来ないのであります。看護婦さんがいなくってこれまた安心するやらがっかりするやらだったのでありますが、続いての医者の行動に、ワタクシ不覚にもベッドの端を手で握りしめてしまったのであります。

(つ、冷たい…!)
 イチモツに突如走る冷たい刺激。おそるおそる目線を自分の股間の方へ移すと、医者がゴム手袋一枚で、ワタクシのイチモツを裏返したりひねったりこねくり回したりしているではありませんか! またこれがウマイ。あ、いや…。ビョーキになっておらず、ましてや病院のベッドの上でなかったのなら。きっと息子はむくむくと反応してしまったことでありましょう。そしてワタクシ今頃は別世界に旅立っていたかもしれません。

「ふん、ふんふん」
 医者は顔がイチモツに触れんばかりの距離で、ためすすがめつ、実にじっくりと観察してくれているのでありました。

「うーん。まあ、ヘルペスでしょうなぁ」
「そうですか」
「彼女以外の方と、なにかそういうことされました?」
「いいえいいえいいえ! め、滅相もない」
「はぁはぁ、なるほどね。そしたらあの、口、でよくされます?」
「え、ええ、まあ、それは、まあ、ねぇ」
「そういうことってよくあるんです。お口の中にはね、色んな細菌がいますから」

 その医者によると、“ヘルペスウィルス”なるものは自然界のどこにでも、例えばヒトの口の中などにも、割と普通に存在しているようなのです。そしていわゆるオーラルセックスからでも簡単に“ウィルスキャリア(保菌者)”にはなってしまうそうなのです。で、体調が悪くなったり、疲れがたまったりすると、カラダの皮膚の柔らかいところを狙って大暴れする、というワケなのでありました。

「とりあえず、塗り薬出しときますから」
「完治はするんですか?」
「いやー。先ほども言ったようにどこにでもいるウィルスですからね。完治は難しいですね」
「え? じゃあ、ずっとこのままですか?」
「いえいえ。体調が戻れば症状は治まります。ただ、再発はあり得ますね」

 家に帰って当時の彼女と連絡を取ります。彼女も今日、病院に行ったはずです。
「どうやった?」
「うん…」
「すぐに治まるって言われたやろ?」
「うん…でも、口でするなって言われた」
「やっぱり!」

 それからも彼女とはしばらく関係は続いたのでありますが、幸いにもそれからはあまりヘルペス君は表に出てくることはなかったのであります。

 え? もちろん、お口でもし続けましたよ。のど元過ぎればなんとやら。大丈夫大丈夫。平気ですよ。ただ、効果のほどは別にして、いたす前には歯磨きを欠かさずするようになったのであります。

 皆さんもどうぞ、「寝る」前には歯磨きを忘れないようにして下さいませ。

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