週末恒例・大人の五体投地
2002年5月19日(日) 「ストリップ場の必殺技〜その1」 今は昔。 学生の頃。 当時のストリップ劇場は、いや、ストリップ小屋は今の雰囲気とはまったく違った。 今のストリップ劇場は少し鮮度の落ちたAV女優などが幅を利かせ 美しく洗練され、お洒落で垢抜けている。 それはいわば美術館であり、芸事を見せる小屋ではない。 もちろん踊りそのものが芸であるとも言え、美しくもあるのだが、 かつての「小屋」が発散していた、独特の、 匂いたつようなむせ返るような雰囲気はまったくない。 その昔のストリップ小屋には裸で所狭しと踊りまわり、 時には大開脚を見せる、それだけの踊り子さんのほかに 究極のワザ師が数多く存在した。 そう。 いわゆる「花電車」の達人たち。 その中でも忘れられないのは、「書道のおねぇさん」。 書道のおねぇさんは舞台中央にクルクルと踊りながら突如出現する。 右手に持ったゴッツくブットい筆に、またこれでもかと言うくらいに墨をたっぷり含ませる。 そして舞台真ん中でしゃがみこんだかと思うと、やおらその筆を股間にあてがい、 一気に挿入に及ぶ。 もちろん、表情は終始にこやかさを崩さない。 と、そのお尻の下にアシスタントのおねぇさんが、つと半紙を差し入れる。 書道のおねぇさんはもう、素晴らしいグラインドを見せてくれます。 「ああ。あんなのされたら五秒と持たないよ…」 と、オスどもは半ばうっとりしたため息と共に、温かい視線を一斉に舞台の上に注ぐ。 颯々とした見事な腰捌きを堪能させてくれた後、 書道のおねぇさんは、より一層微笑みに輝きを見せ、作品の披露に及ぶ。 「できましたぁぁぁぁ〜っ!『平和』の『和』っ!!」 場内割れんばかりの拍手、拍手、拍手!! 「さ、なにかリクエストないですかぁ?!」 書道のおねぇさんの呼びかけに、とたんに場内のオスたちは野獣の本能を呼び覚ます。 猛然と手を上げ、「ハイ!ハイ!ハイ!」と一斉に叫ぶ男たちの目は、 算数の問題を解けた喜びを全身で表す小学生のそれにも似ている。 「はい、お客さん、どうぞ!」 指名された客のうれしそうな顔といったら… その喜びを隠そうともしないあからさまな笑顔のまま客は右手を口の脇に当て大声で叫ぶ。 「誠ぉぉぉっ!!!」 「はい、『誠』ですね?」 またも強烈なグラインドをひとしきり。 再び湧き上がるため息。 「はぁ〜い!できましたぁぁっ!『誠』ぉぉぉっ!!」 またも拍手の渦! 「誠」の作品をプレゼントされた先ほどの客人の顔。 あれぞ至福の表情だといえるだろう。 まさにこれは芸人の鑑である。 まだどこかにいるのだろうか…書道のおねぇさん… |