鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第12章 君が…見えない…
 第2話 
不信




 夜も一つ布団では寝ていたが交渉はほとんどなかった。

 互いにそんな気になれなかったのだ。

 K子が体調不良を訴えている。

 おなかが痛いという。

 食欲がないという。

 吐き気がするという。

 そんなことを言う妻を抱くことは出来ない。


 …いやたった一度だけ。

 K子を激しく抱いたことがあった。

 K子があからさまに「そうなって」しまったのは

 思えばそれ以来だった…


 仕事が忙しい、と毎晩深夜の帰りが徐々に増えていくK子。

 ほとんど夫婦らしい夜も過ごさないことに少しずつ苛立ちを募らせる僕。

 ある晩、彼女の帰ってきたのは深夜2時を回っていた。

 酔いも手伝ってK子に怒り、いや不満をぶつけてしまった。

 「なんやねん、毎晩毎晩遅く帰ってきやがって!俺ら、ホンマに夫婦か?」

 「…ごめん」

 「そんな生活してるから体調崩すんや!」

 「…うん」

 「そんな元気があったら!なんで俺と寝ぇへんねん!?」

 「しんどいねん、信じて」

 「…まさか、浮気でもしとるんとちゃうやろな?」

 「………わかった…しよう。していいよ」


 この言葉を聞いて僕は理性を失ってしまった。

 いや、すでに理性はそれまでに崩壊していたのかもしれない。

 まるで強姦するようにK子を、妻を押し倒す…



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