鼻の奥がカユクなるバツイチへの道
第11章 誓い
第1話 誓い
ホテルのレストランを借りて披露宴と式を行うことになった。
結婚式は親の意向もあり、話せば話すほど派手になってしまった。
「日ごろ信心していない神や仏に誓うよりも」と
旧知の人達を前に「結婚証明書」なるものにサインをする
「人前式」の形をとった。
日ごろ信心していないからこそ、
神や仏に立てた誓いを破るのは苦でもなかったろうが
「人に誓う」ことで精神的に自らを
大きな重石にくくりつけてしまったことを
ほどなくして知ることになった。
式でどういう挨拶をしたか覚えていない。
しかしその時は幸せを感じていた。
僕も、K子も、家族も親戚も友人たちも。
これで終わった。
不思議だが始まったような感覚はなかった。
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