鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第10章 束の間の幸せ
 第1話 
決意




 二人の旅から得たこと。

 それは決意だった。


 二人で行くところまで行こう。


 それが例え不幸であっても。

 K子は言った。

 「3太郎さんとなら、不幸になっても諦める…」

 それを信じた。

 それに賭けてみることにした。


 旅から帰ってすぐ。

 結婚を申し込んだ。

 指輪も買った。

 K子の就職を待って1年後に結婚することになった。


 束の間でも結婚に向かっていく間

 二人は幸せだった。

 無理に作ったような物質的な幸せだったかもしれない。

 どんな式にしようか、誰を呼ぼうか。

 新婚旅行はどこにしようか、どんな家に住もうか。

 家具はどんなのがいいか、カーテンは何色が良いか。

 それはただ単に不安を紛らわせるだけの方便だった。

 その行為に没頭している間だけ、

 現実の不安を忘れることが出来たのだ。




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