鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第8章 タイミング
第3話 瀬をはやみ




 別れるタイミングを失った恋は

 迷走を続けていく。

 逢えばケンカばかり。

 ケンカしていたと思えば、求め合う。


 山から流れ落ちる谷川の水は

 岩に裂かれても裂かれても、やがては一つになっていく。

 そこは遠いけれども大きな海であるかもしれないし、

 近くはあるが腐って淀んだ水溜まりから

 一生抜け出ることができないでいるかもしれない。


 このままだと腐り水の中で、二人一緒に腐っていくんだろうな…

 そんな漠然とした恐怖から逃れようともせず、

 二人は途方にくれながらも

 その淀みの中に浸り、漂い、放心していた。



戻る   前へ   次へ