鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第8章 タイミング
第2話 日陰の恋




 「なぁ。」

 「ん?なに?」

 ベッドで体を寄せ合いながらひそひそと話す。

 「もしよかったら、な?」

 「うん…」

 「このまま…このままでもええから…」

 「このまま…カラダだけ?」

 「そう。それでもええから…」

 「…うん。アタシも…そう思ってた」


 問う前からこの答えが返ってくることは判っていた。

 結局、K子も僕も。

 せっかく手に入れたおもちゃを捨てる勇気がなかっただけだ。

 猫を拾って捨てきれず、親に隠れてこっそり飼うような。

 背徳的とまでは当たらないかもしれないが、

 この恋の結末は、決してもう日の当たるものではなくなった。

 K子のうなずきと同時に、僕はそう確信した。



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