鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第7章 最初の別れ
第6話 最初の別れ




 それから1,2ヶ月。

 K子とはホテルに行く機会がなかった。

 映画や食事などは週1,2度あるにはあったのだが。


 しかしそうした中でも

 内容も原因も思い出せないような程度のものばかりだが

 なんとなく喧嘩が多くなり、

 お互いデートの途中で帰ってしまうことも幾度かあった。


 どうせ一過性の気まぐれや。

 とタカをくくっていたのは僕だけだったらしい。

 

 ある日、珍しくK子からデートの誘いがかかった。

 彼女の住む南大阪の女子寮へと向かう。


 いつもなら部屋にまっすぐ上がるところだが、

 K子は寮の外で待っていた。

 そのまま静かな喫茶店に向かう。

 席に着く。

 飲み物が運ばれてくる。

 K子は僕の話に、妙に上の空だ。

 何を聞いても何を話しても、生返事しか帰ってこない。


 「おい?」

 「ん?ううん…」

 「なあ、聞いてるか?」

 「あ。うん…」

 「どないしてん?体の具合でも悪いんか?」

 「…ちゃうねん。怒らんと聞いてくれる?」

 ほぼその瞬間、彼女の口から次に出てくる言葉は予想できた。


 付き合い始めて8ヶ月。

 冬にしては暖かい、穏やかな午後だった。



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