鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第7章 最初の別れ
第2話 女子寮




 夏がすぎ秋になったころ。

 学校の課題が忙しくなったK子は

 大阪の南部に下宿を始めることになった。

 たまたま空いていた「女子寮」に。


 「女子寮」とは言うものの、

 ほとんど民間のアパートと変わりがなく

 より詳しく言うならば民間のアパートが学校から

 「女子寮指定」を受けていただけのアパートである。


 荷物を運ぶのを手伝いに行ったとき

 隣の部屋からパジャマの男子学生が出てきて少し笑った。


 ついでに言うと女子寮だろうと安アパートだろうと

 スルことも為すことも本質的には変わらない。

 彼女の住みはじめた大阪の南部と、

 僕の住む大阪の北部と。

 互いに行き来をしながら

 場所が変わっても二人でいれば一緒であった。

 スルことも、為すことも…

 隣室や階下に気を遣いつつ、と言う点でも、

 それぞれの下宿は同じようなものであった。



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