鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第6章 予感
第7話 予感




 それからもう一度僕はK子と愛し合う

 朝の光の中溶け合う二人

 そしてもう一度眠りもう一度目が覚めた

 昼をとっくに回っているようだった

 あいかわらず隣で寝ているK子…

 その寝顔を見ているうちに

 僕の胸の奥にこみ上げてくるものの中には

 確かに幸福感は存在した…が…

 なぜだ?


 むなしいような。

 満たされなかったような。

 …冷めはじめている。

 僕はすでに冷めはじめている。

 人にどうそしられようと

 「鬼」と罵られようと

 冷徹なほどにこれは、事実、だ。

 確かにこの時、すでに冷めはじめている自分を

 僕ははっきりと自覚した。


 男はモノにした女には興味が薄れるという。

 人のものは理由がどうあれ、欲しくなるという。

 自分がまさに、

 それをなぞったかのように同じ軌跡をたどっている。

 しかしその事実を受け入れるのには

 少し僕は浮かれすぎていたようだった

 頭をひとつ強く振って

 その冷たい塊を頭の中から振り落とすと、

 もう一度K子の寝顔にキスをして

 一人シャワーを浴び、授業を受けに行くために身支度をはじめた



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