鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第4章 初デート
第2話 のんだくれ




 いつのまにか日は翳り、街にはネオンが灯りだす

 「時間ええんやろ? 何か食いに行こか」

 「おー腹減った〜」

 およそ若い女性が口にするとは思えない言葉を

 平気で吐きながらK子は席を立つ

 そのあたりの安い居酒屋

 隣り合った席でジョッキをグイグイ空けながら

 どんどん話はエスカレートしていく

 「え?まだなん?」

 「うん・・・まだないねん」

 「へぇ・・・一年も付き合ってて?」

 「もう、やめてよぉ」

 酒のせいもあってかK子は顔が真っ赤になっている

 「だってなぁ…もうそこそこ回数だけはこなしてんるんでショ?」

 「うん、まあ、ね。」

 「まだイッたことないんかぁ・・・ふぅん、そかそか」

 「こら!そこ!なにが『そかそか』やぁ!」

 ………

 K子の顔が赤いのは、酒のせいではない

 彼女は僕の数倍酒が強く、

 めったなことでは顔に出ないタイプなはずだ

 ふふふ、ほんとに面白い子だ

 二軒目は堂山町の交差点を渡った「ShotBar 風のホーキ」

 三軒目は・・・もうどこだったか覚えていない

 調子に乗ってガンガン飲みしゃべり・・・

 駅へ向かうころにはすっかり終電まぎわの時刻になっていた



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