鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第3章 帰りの車で
第2話 彼女のこと




 「アタシの話ばっかり・・・アンタの彼女はどうなんよ」

 「え? もう別れて1年と半年になるよ」

 「あ、そうやったね。前に聞いたわ、そういや」

 「キャンプのリーダーの同級生でね可愛い子やった」

 「あ、そう。ふ〜ん・・・」

 「ホンマやぞぉ、可愛いのは」

 「どんな人やったの?」

 「芸術系の大学生で鉄やらなんやらで立体を作ってた」

 「へ〜アタシといっしょやなぁ」

 「君は絵描きやったね。ま、いっしょやな。よう判らんモン作ってるのは」

 「失敬な! ・・・どんなとこ行ってたん? デート」

 「金がなかったからなぁ・・・今みたいにひとり暮らしでもなかったし。映画とか、散歩とか」

 「どれくらい付き合ったん?」

 「う〜んと、1年半かな・・・それまではただの同級生やったけど」

 「いまでも会うの?」

 「会わないといけない用事もあってね・・・ちょっとまだつらいね」

 「そういうもんかなぁ」

 「そういうもんやでぇ」



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