鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第2章 スキーへ行こう!
第4話 けだるい昼食




 幸いなことにK子と僕のスキーの腕前は初中級程度で五十歩百歩だった

 K子が転んでいるところに雪を蹴立てて滑り降り、サングラスをはずしながら

 「お嬢さん、大丈夫ですか?」などということもできなかった代わりに

 同じようなところでこけ、同じようなスピードでゲレンデを楽しむことができた

 さんざっぱら滑り、転び、雪にまみれ特に会話といえば

 「こんどはあっち」

 「早う早う!」
 
 「あそこがええ斜面やねー」

 「うわーコブコブ(ギャップのこと)やー」

 という程度で大したおしゃべりもしなかったがなかなかに充実した時間だった


 だが昼の食事ごろには、前夜のツケで、もう眠気が襲ってきた

 「眠くないか?」

 「そーもう、目がショボショボする」

 K子はカレーうどんをすすり込みながら不平そうに言う

 「車で休もうか?」

 「イヤ! せっかく一日券買ったのに! まだ滑る!」

 「元気やなぁ・・・しゃあない、ま、付き合うか・・・」

 「ええよぉ無理せんかって。アタシ、もっとカッコええ男にナンパされていっしょに滑るから」

 「ほぉ〜ぉ・・・言うやないけ。見せてもらおかぁ」

 「アンタおったら誰も声かけてくれへんでしょー。休んどき休んどき」

 「そうやなーグラサンはずさんとキャップも深くかぶって・・・」

 「かっこいい? 決まってる?」

 「そうそう、スキーマスク、アレつけよ! よし、これでナンパされるわ、きっと」

 「アホー、失礼な!」

 「ちょっとトイレ、ごめん」


・・・トイレから出てきて再びK子の前に座ると・・・

 彼女は居眠り・・・

 またもや口を開き、今にもよだれをたらしそうに眠るK子・・・

 (この娘、なかなか可愛いかも知れんな・・・)

 しばし時の経つのも忘れ、K子の寝顔を見つめ続けた・・・




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