鼻の奥がカユクなるバツイチへの道


第2章 スキーへ行こう!
第2話 K子の寝顔




 運転を替わりながらわぁわぁ言いもってスキー場に向かう

 「この信号なかなか変わらへんなー」

 「さっきからずっと赤やねー」

 「こんな夜中に何で赤信号でボォっと待っとかなあかんねんな、行こ行こ」

 「えー運転してるのあたしやねんでー、信号無視はいややわ!」

 「・・・おい、チョット見てみあれ、『感応式信号機』って書いてへんか?」

 「んー・・・そうやねー、停止線は・・・あーっ、まだあんな先に・・・」

 「アホか! 停止線の30mも手前で停まってて感応式信号機が変わるか、ぼけぇっ!」

 「ごめんごめん、アハハハハハ」

 あ、笑った笑った。

 この娘が大口開けて笑う声を聞いていると

 なんだか怒る気も失せてしまった

 ・・・ったく・・・不思議な娘だな...




 明け方。スキー場の駐車場に車を停めた

 「缶コーヒーでも買ってくるよ」

 「あたし待っててかまへん? 寒そうやもん」

 「スキー場は寒いモンや、ま、ええよ。買ってくるわ」

 僕は助手席にK子を残し、車を出て自動販売機を探して歩く

 3月とはいえ明け方、しかも雪国だ

 車の中の暖房に慣れきった体はすぐに縮こもろうとする

 やっと見つけた自動販売機であたたか〜い缶コーヒーを2本買い、車のなかへ・・・

 「お〜寒い、う〜っ、ホンマに寒・・・あ、もう寝てる」

 スキーウェアを肩まで掛け、首を運転席側にかたむけ

 少し唇を開き気味ですやすやと寝ているK子・・・

 駐車場の薄明るい照明に照らされた彼女の頬はすこし赤みを帯びていた・・・

 (近くでこうして見ると、可愛くないこともない、か・・・)

 僕も体ごと助手席のほうに向けK子の息遣いを感じながら眠った・・・

 


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