鼻の奥がカユクなるバツイチへの道
第1章 出逢い
第3話 駆け込み乗車
改札をくぐったとたんK子はいきなり走り出した
「おい、ちょちょっと、どないしたんや?」
思わず追いかけて走りながら僕が聞く
「電車ヤバイ、バスがなくなるぅ〜」
手足をばたつかせ吉本のギャグ芸人のような走りざま・・・
「早よ早よう!早よせんと電車でてしまう!」
階段をスカートをも気にせずドタバタと二段飛ばしで駆け上がるK子
「あかん、もう、酔うてしもうてよう走らん・・・」
「ほんじゃーアタシ、先行くねっ! おやすみ!」
言うが早いかK子はさらに上へと駆け上がる。
ホームから駅員の鳴らすホイッスルが聞こえる
K子の姿が見えなくなったとたん、電車の扉が閉まった音が聞こえた
「・・・乗れたんかな?」
酒のだぶつく腹を押さえてよっこいしょっとホームへと体を持ち上げた
K子がドアの内側から僕を見つけてニヤッと笑って手を振るのが見えた
「ヘンなヤツやな・・・」
なんだかこみ上げてくるニヤニヤ笑いを押さえながら
僕も胸の横で手を振りかえした・・・
戻る 前へ 次へ