鼻の奥がカユクなるバツイチへの道
第1章 出逢い
第2話 駅までの道のり
その娘の名前はK子といった
サークルもお開きになり、何人かで飲みに行く
お定まりのコースらしく全員の足が喫茶店から出たとたん同じ方を向いて進みだした
「3太郎さんも来るでしょう?」K子が聞く
断る理由はない。安アパートに帰っても一人だ
「うん。いつも行くとこ、決まってるん?」
「ほら、あっこ」
指差す手は意外なほど荒れていた。
「ああ、アトピーがひどくってねー」
「へー水仕事とかしてるんかと思ったよ」
「意外とするよ、アタシ」
「・・・はじめてみた時、おミズのねぇチャンかと思ったよ」
「ひどー・・・でも時々言われる・・・」
「そおやろーこいつ、おミズやってんねんでぇ」
「こらーそんなコト言うのはこの口かぁ!」
「あはは、ごめんごめん」
・・・周りのオッチャンやオッチャン予備軍のツッコミに
五分以上で渡り合うK子は、この段階ではまだまだ僕の目には「ヘンなヤツ」だった
飲み会では他愛のない話が中心だった
適当に酔ってお開き、私鉄線、地下鉄、と駅にに近づくたびに人が減っていく
「おつかれー」
「ほーい、がんばってねー」
JRの駅でまた別れていき、同じ線に乗るのは僕とK子の二人になった
「あれ? 家どこなん?」
「○○市」
「あ、割と近いんやねぇ」
「へー3太郎さんは?」
「××市」
「なーんや、それほどでもないやんか」
・・・なんとなく沈黙が怖い、それだけで会話を垂れ流しているそんな感じだった・・・
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