足の指の間が痒くなる日記

11月11日(日)  「日曜日の宗教戦争」後編

前編はコチラ

…次の日の朝、そう日曜の朝が来た

我ら堕落一家は奴らが来る前に起き出し座敷、玄関を掃き清め、

全員武装=正装して迎撃体勢を整えた

父は着流しにぶっさきの羽織

母もスーツ、私と弟も学校の制服を着ていまや遅しとドアチャイムの鳴るのを待ち構えた

「♪ぽんからきんこんか〜ん♪」

来たっ!

インターホン越しではなく、母がいきなり玄関まで出迎える

「ようこそ、お待ちしておりました、さぁさぁどうぞこちらへ…」

前週までといきなりの待遇の変わりように、

少し落ち着かない様子で座敷に通される母娘

小さな女の子は物珍しげにあたりをきょろきょろしている

私と弟で母娘にジュースを出す(もちろん果汁100%だ)

「では、しばらくお待ちください。まもなく父が参りますので」そう言って部屋を辞す

おどおどしていた母親もチャンスの到来を予感したのかずいぶん落ち着いてきたようだ

女の子はジュースを早速おいしそうに飲んでいる

ほとんど入れ替わりに父が座敷に入り、われわれ3人は座敷の外に控える

床の間を背にしてどっかと座り、しばらく無言の父


おもむろに父がニコリともせずに母親に向かって切り出す

「いつも日曜日、こうして回ってらっしゃるんですかな?」

「はい!皆さんの幸福を願って、お宅様はじめご近所も回らせていただいてます…あの、」

「なるほど」

母親のほうはなおも言葉を継ごうと口を開きかけるが

父がじろり、と目でそれを制した

…しばし無言の父…………


次の父の言葉を聞き逃すまいと、われわれ3人は自然に身を乗り出す

父は次に女の子に向かって、実に自然に、にっこりと精一杯の笑顔で尋ねた

「お嬢ちゃん、ジュースおいしい?」

こっくりとうなずく女の子

「そう…、いつもこうやってお母さんと一緒にあちこちのお家を回ってるの?」

またもこっくりとうなずく女の子

「そう…で、こんなことしてて、楽しいかい?



その日以来、その母娘はじめ某宗教団体は一切我が家へ近づかなくなり

またも堕落一家に平和な惰眠の日々が戻ってきたのであった…


日記才人の投票ボタンです
本日の小ネタ

友の結婚式に行ってきました
こんなに他人の幸せが
痛く感じられるとは…
思わなかった

戻る     次へ    前へ