足の指の間が痒くなる心意気
2003年10月11日(土)「見栄と妻と」 |
久しぶりに会う旧友と、旧交を温めつつガブガブ飲んでいると仕事帰りらしい妻からメールが入る。 〈しんどいのー。お腹張るのー。産まれそう〉 ……って、待て待て。まだ妻・わんこは6ヶ月のはず。いや、まさか切迫流産か? うわうわうわ。 心中慌てつつも9つ下の嫁さんを貰って骨抜きになってるだなんて、昔の友には知られたくない。とりあえず〈大丈夫か? 今どこや?〉とだけ返信して平然を装い、飲み続ける。 じりじりしつつ、それでも顔だけは平気なフリをして妻からのメールを待つ。ケータイがブルブル震えると電光石火の早業でチェックする。 〈だいじょぶ。でもお腹痛い。駅からタクシーで帰るー〉 ほっと一息。しかしまだ油断は出来ない。友人がトイレに立ったのを幸い、電話を入れる。 「お、おい。大丈夫か? まだ帰らんでええか?」 こっけいなくらい、元気な声で妻が応える。 「うん、赤ちゃんムッチャ動くねんけど、もう大丈夫」 「食欲は……あるんか?」 「うん。いっぱい食べた。もう寝るねん」 「そ、そうか。何かあったら電話して来いよ」 「うん、おやすみー」 きっと恐らく赤ん坊が空腹のあまり大暴れしたのではないかと思う。まったく母子ともに実にそっくりである。エンゲル係数が恐ろしいことになりそうな予感がしてならないのである。 |