足の指の間が痒くなる心意気
2003年9月17日(水)「号外」 |
優勝の決まった夜、梅田にいた。道頓堀のバカ騒ぎにはハナッから混じる気もなく、とにかく記念の号外を求めてから帰ろう、と。 すでに優勝決定の号外第一報は出た後であり、第二報の星野監督の胴上げ写真の載った号外が出ると信じて待つ。すでに大阪駅御堂筋北口には、渦をなして人が集まっている。いずれも号外を待ち望む老若男女たちである。 そこへビニールに包まれた新聞の大きな束を抱えたニイチャンが走り込んできた。すわ! 号外や号外や! 人の雪崩が一点に集中する。強引に割り込むオッサン、それに弾き飛ばされる綺麗なおねぇちゃん。いつもならサッと薬指のリングを外してから「大丈夫ですか?」とさりげなく助けてあげるところだが、今はそれにかまってられない。ボクだって号外が欲しい!! 遮二無二雪崩の中心へ飛び込む。 「ちゃ、ちゃうちゃうちゃう!!」 新聞のニイチャンが大声で叫ぶ。すでにビニール袋は破れかけている。 「これは売りモンや! 売りモン!」 あっと見るとニイチャンの抱えている束はスポーツ新聞の夕刊の早版だった。さすがにアレを奪うと強盗になってしまう。そそくさとばらける人たち。また待つことしばし。 今度こそ来た! 間違いなく号外だ! またしてもドッと人が雪崩を打つ。たちまちもみくちゃにされる号外と新聞社の人。あんなに欲しがっていたはずの号外がビリビリに裂かれ路傍にゴミと化して打ち捨てられる。弾かれ、跳ね返され、命の危険を感じながらやっと号外をゲット。報知だった。阪神が勝ったときもひたすら巨人を一面に据えていた報知が、まさか号外を出すとは。ある意味レアな逸品。 その後も弾かれ跳ね飛ばされしながら、なんとか読売、朝日の号外をゲット。しかし号外をもらうだけなのに命がけになってしまうとは。タダのモンなら貰わんと気がすまん。全く大阪人ってのはどうかしている。……自分のことは思っきり棚に上げて。 |