足の指の間が痒くなる心意気
2003年9月2日(火)「ニオイの記憶」 |
視覚よりも聴覚よりも、嗅覚による記憶のほうが鮮烈に残る。 例えば観光バスに乗ってあの特有の饐えたようなニオイを嗅ぐと、子どもの時袋いっぱいに戻したことをまざまざと思い出す。と同時に多少気持ち悪くなってしまったりして。ニオイによる記憶は強烈に残る。 こないだ朝の満員電車に詰め込まれていると、どこかで嗅いだようなニオイが鼻を突いた。どうも、すぐ前に立っている女性から匂うようだ。なんのニオイやったけなーこれ、と怪しまれない程度にクンクンしていると。とある光景が脳裏に浮かんできた。 少し暗めの照明に、大きなベッドでいっぱいの部屋。大きなテレビに、何故かスロットマシーン……。これはラブホや。 そう、女性の髪のあたりからは、あのラブホに共通した精液やら愛液やら汗やら唾液やら血液やらなんやらといった、ありとあらゆる体液がないまぜになって発酵したような、一種独特なニオイが漂ってきている。果たしてたまたまそういうコロンでもつけているのか、体臭なのか、それとも今朝はラブホからご出勤なのか。ニオイが染みつくほどラブホに入り浸りなのか。 ボクはと言えば、ラブホのニオイで呼び起こされた、かつておつき合いしていた女性の記憶をぼんやりとたどっているウチに、下半身が言うことを聞かず「暴れん坊将軍」(将軍、は言い過ぎです。ゴメンナサイ)になってしまった。もう少しでラブホのニオイの女の人に、駅員に突き出されそうになった。ホンマ、鼻栓がいるで。 |