足の指の間が痒くなる心意気

2003年5月31日(土)「マタニティブルー対策」 

 妻・わんこの気分は、日々に浮き沈むようだ。

 昨日はことのほか、落ち込んでいた。夕食の途中で、ふとわんこの箸が止まる。どうしたのか、と彼女の顔をのぞき込むと、何だか涙目でうるうるしている。うろたえ気味に、何か哀しいことでもあったのか、と聞くと、なぜだか判らないが、急に哀しくなったのだ、と言う。かと思えば今日は逆に、躁ではないか、と勘ぐりたくなるほどにケラケラ笑ってばかりいたり。

 ハッキリ言って、ついていけない。しかし、ただでさえ不安定な妊婦の体調と精神を、夫たる自分が支えなくてどうするのだ。

 無理もない。きっと不安なんだろう。自分の腹の中に、新しい命が宿り日々育っていく。今まで経験したことのない、うれしさと不安の入り交じった奇妙な感覚。それは違う見方で想像すれば、母胎である自分の身体を、少しずつ齧り取られていくような、そんな感じなのではないか、と思う。いずれにしても男には判らない、想像の世界ではあるのだが。

 有り体に言って、どうしていいのか判らない。判らないけど、右往左往してうろたえていても仕方ない。判らないときはボディランゲージしかない。わんこを優しく抱き寄せて、背中や頭をなでてやり、優しくキスをしながら、ヨシヨシヨシヨシ、と囁いてやる。

 少し落ちついてきたら、今度は誉め倒す。誉め殺しではない。とにかく誉める。

「かわいいねー」
「最近ちょっとキレイになったんやないか?」に始まって
「毎日しんどいのに、頑張って仕事にも行ってるよなぁ」
「今日はご飯も作ってくれてんね、いやぁうれしいわぁ」
食べたら食べたで、
「お、コレ美味しい。ホンマに旨いわ」
そしてトドメは
「愛してる」
「幸せやなぁ」

 このようにどんなことでも誉める。他愛もないことを中心にほぼなんでも良い。誉める誉める誉める。

 そうすることで、夫であるボクを信頼してくれる。優しい夫だ、と思ってくれる。そして、妻は安心するのだ。とにかくいい子を産んでくれるよう、その巣作りはオスの使命なのだ。


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可愛いわんこへ

 だからボクは、キミを不安にさせるようなこと。……例えば浮気だなんて、これまで全く考えたこともありませんし、今後も一切するつもりもないのであります。
 本当です。信じて下さい。お願いします!

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「誉め倒し 気がつきゃすっかり 女王様」
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