足の指の間が痒くなる心意気
2003年4月14日(月)「流行に乗り遅れるな!」 |
先日久しぶりに実家に顔を出した。そろそろ年金受給者になるいつも元気な母親が、その日に限ってしんどそうに咳を繰り返している。 「どうした? 風邪か?」 「いや……どうも、風邪とはちゃうっぽいねん」 「ゼンソクの気でもあったっけ?」 「いや……どうもな。あの『SARS』やないかな、と」 「えっ! 香港とか東南アジア行った? いつの間に?」 「いや。行ってない」 「誰か近所や知り合いが行ったとか?」 「……いや」 「ほな、絶対そんなんとちゃうやろ」 「聞いて! でもな、でも咳が出るねん」 「……そう言うたら、おかん。こないだは『胃ガン』ちゃうか、言うてたな?」 「うん、うん」 「何ともなかったんやろ?」 「うん」 「そん時、ちょうど海老一染太郎が胃ガンで死んだ頃やったなぁ」 「そそそ。よぅ憶えてるなー、あんた」 「美空ひばりが死んだときには『ワタシも大腿骨頭壊死にかかった!』とか言うて大騒ぎしとったな」 「そやったっけ?」 「あまつさえ三波春夫のときは『前立腺ガンの検査受けなあかんなぁ』とか言うてたな」 「そやったかなぁ」 「それ聞いたときは『ウチのおかん、実は男やったんか』とか思たで、ホンマに」 「ゴホゴホゴホッ!」 「昭和から平成に変わるころは『ワタシも下血した! 膵臓ガンや!』言うてタダの痔やったし」 「ゲホッゲホッ!」 「実は病気になりたいだけなんとちゃうんか?」 「いや、病気にはなりとないねん」 「それでええがな」 「でも流行には飛びついてまうねんなぁ、これがまた」 「勝手にせぇ」 ウチのおかんはまだまだ長生きしそうです。それはそれで…… |