足の指の間が痒くなる心意気
2003年1月15日(水)「電車の中の懲りない面々」 |
電車の中には奇妙な行動をとる方々がたくさんいらっしゃる。普段は車通勤のワタクシはたまさかに電車に乗るとそういう方に出会いたくって出会いたくって、ついつい目を皿のようにしてしまうのである。先日もその甲斐あってか素晴らしい御仁と出会うことが出来た。 割と混んでる昼下がりの電車の中。立ってる人もちらほらといる。大阪行きの普通電車で隣合わせた若い男性。いわゆるビジュアル系の外観で薄化粧すらしている。これだけでもなかなか興味をかき立てられるが、その男性の次の行動に目を疑った。やおら女性が腋とか足とか剃るような安全剃刀をバッグの中から取り出すと、ぞ〜りぞりと指の毛を丹念に剃り始められた。小指、薬指、中指……手の甲から更には腕まくりまでして肘のあたりまでぞーりぞり。危ない、というよりも滑稽で笑いをかみ殺すのに必死だった。剃毛行為を終えられた後、その方は「刑事訴訟法」なる分厚い本を取り出し読むでもなく眺めるでもなく、ぱらぱらとめくり続ける。実に不可解なビジュアル系。 その日の晩、これまたケッタイな御仁と向き合う。終電前の空いた車内にいわゆる労務者風の、決してコギレイとは言えないオッサンが乗ってきた。少々お酒をきこし召しているようで真っ赤っか。それだけならまだしも、このオッサン、たばこを取り出して火をつける。さすがに周囲の乗客は黙っていない。 「おいおい、オッサン。電車の中やぞ」 オッサンは申し訳なさそうな顔をして、かくのたまった。 「に、ニイチャン。すまん。一本だけ、な。すまん」 あっけにとられる乗客達を尻目に、ゆうゆうと一服つけたオッサンは携帯灰皿に吸い殻を押し込むと、ゆうゆうと下車。マナーが良いんだか悪いんだか。 「ニイチャン、一本だけ、な、な。」と言いつつ注射してたらもっと面白かったろうが、幸いにしてか不幸にしてか、そこまでのツワモノには未だにお目に掛かってはいない。いつの日か、これ以上のツワモノに出会いたくって、電車に乗り込む時はつい目を皿にしてしまうのである。 |