足の指の間が痒くなる心意気
2002年11月14日(木) 「てかてか」 |
日に日に冷たくなる北風。日に日に厚くなる 寒かろうが雪だろうが、雨だろうが風だろうが、ナニが何でも外で遊び回っていた。毎日毎日暗くなるまで遊び回っていた。理解ある母で、服をいくら汚してもあまり怒られた記憶はない。寒さで手足はしもやけとアカギレまみれになっても、まだそれでも半袖半ズボンだった。お決まりのように鼻水もだだ垂れだった。漫画に出てくるアホの子みたいに青っぱなを垂らしていた。なんであんなに寒かったのに半袖半ズボンだったのだろう。 …そう言えば、一度だけ服を汚したことで母に怒られたことがあった。母が手編みのセーターをくれた日のこと。大好きな青い毛糸で母が編んでくれたセーター。そのセーターをもらった日は嬉しくてそれをそのまま着て遊びに出かけたっけ。その日もやっぱり寒い日だった。 案の定、垂れてくる鼻水。ティッシュやハンカチなんてまさか持ち歩いてるわけがない。手洟をかむほど世慣れてもいない。鼻血を止めるように上を向いてちゃ遊べない。無意識のうちに袖口で鼻をこする。右で左で。乾いた上からまた鼻をこする。左、右、左、右、右、右、左。遊びに夢中でもらったばかりのセーターの袖口がどんどんどんどんテカテカになっていくのもお構いなし。暗くなってようやく家に帰る。 「ただいまー。オナカスイター」 「おかえりー。さぁ、早よ手ぇ洗ってうがいしなさ…いやっ。この子は! 何そのセーター!!」 「…あ」 「『あ』、やあらへんでしょうが! もう、せっかく編んであげたのに! 一日で台無し…」 「せやかて、せやかて…」 「せやかて、やないでしょ! もうあんたはずっと半袖でおりなさい!」 その母の言葉どおり、次の日からは再び半袖シャツと半ズボンの生活を余儀なくされる。それでもきゃっきゃと遊び回っていたワタクシに母はため息をついたとかつかなかったとか。 あの青いセーター、その後二度と見なかったけど。やっぱり捨てられちゃったのだろうか。今でも少し胸が痛む。 |