足の指の間が痒くなる心意気

2002年11月11日(月) 「結納」

 日曜日にわんこ一家と3太郎一家の結納を済ませてきた。…とこう書くとヤクザ同士の縁組みのように聞こえてしまうが。

 大仰なことはヤメよう、もうカタチだけカタチだけ…と言い続けていたのだが、やっぱりなかなかそうは行かないモノ。多少のお飾りはやはり避け得ない。鶴や松をかたどった水引に熨し昆布。母二人は何だかはしゃいでる。

「いやぁ、こんなんまでしていただいて、申し訳ありません」
「いえいえ、もうこれくらいしかできませんから…」
あ、あれ? 結納って「昆布茶」が出るまで一言も喋ったらアカンとか、言わへんだっけ? もうなんだか話題は結納を大きくハズレ、すっかり井戸端会議の様相を呈している。

 進行役はレストランスタッフが買って出てくれた。
「ではこれより、ご両家の納采の儀を始めさせていただきます。まずは御新郎様のご両親より…」
場が引き締まる。父親同士での引き出物の交換。どうして良いか判らず、ワタクシはただただお辞儀を繰り返す。みっともない。
「幾久しくごにょごにょごにょ…」
「幾久しくお受けごにょごにょごにょ…」
この語尾のごにょごにょという消え方が、また厳粛さをかき立てる。

 緊張気味のわんことわんこの父母。片やワタクシもワタクシの両親もそれほど緊張してはいない。なんてったって2回目だから。

 窓から晩秋の陽の光に大阪城が輝く見えるとあるレストラン。わんこは振り袖。
あと何度彼女の振り袖姿を拝めるのか、と何だか少し寂しくも思う。

 納采も滞りなく済み、続いて特に盛り上がるでもないが、和やかな秋の陽射しのような会食。母親同士は謙遜合戦だ。
「もう、こんな何も出来ない娘ですが、本当に良いんですか?」
「いえいえウチのだってもう、年も年ですし、こちらこそよろしいんですか?」
おいおい…この期に及んでもし「ダメっ!」て言われたらどうするんだ? 

 わんこのお父さんは少し口が重い。やっぱり、そういうモノなのかもしれない。あと何十年かしたら、ワタクシもこういう気分を否応なく味わうことになるのだろうか。うれしいような、寂しいような。満足感とやりきれなさの入り混じるような。時折訪れる沈黙が、少し、恐ろしい。

 また一歩、階段を昇る。今度こそは踏み外さないよう、一歩一歩を踏みしめていこう。少なくとも今日の両親たちと同じところに立てるまでは。

わんことの会話に似せた日記才人の投票ボタンです

登録は簡単です!登録してから押していただけると、まことに励みになります
本日の片言隻句


転ぶも一緒 オチルも一緒
3太郎


下の句ハゲシク募集中であります

下の句投稿にも、その他感想・ご意見にもどうぞ。
ボタンを押すと送信されます。
匿名・空メールも大歓迎です。

戻る     次へ     前へ