足の指の間が痒くなる心意気

2002年10月18日(金) 「お注射」

 今日はわんこが我が家へやってくる日。彼女は午後、予防注射にいったその帰りに、我が家へやってくるのだ。彼女の勤める地方自治体では、職員に破傷風の予防接種が義務付けられているのだそうだ。

 予防注射、と一口に言っても破傷風のそれはちょいと違う。かなり痛い注射なのだそうだ。しかも、接種後2,3日ほどで熱が出るという。職場の先輩職員にさんざんそういう恐怖感を植え付けられて、わんこは予防接種に向かった。

 子どもの頃、学校での予防接種。
 列を作って待っていると、前からどんどん注射の終わった奴らが帰ってくる。その一人一人に向かって「痛かった? なぁ痛かったか?」と聞いては、自らの恐怖を必要以上にあおりたてたものだし、また自分が注射を終え待っている連中とすれ違うときには、殊更に痛い顔を作っては、これからと言う奴をびびらせたものだ。

 さて、わんこの場合。
 彼女は無事に予防接種を終えることは出来たモノの、ウチに来たときにはすでにちょっとフラフラしてた。

「…大丈夫か?」
「うん、まあ、ね…」
「もう熱出てるんとちゃうか?」
「ううん。それは大丈夫」
「じゃあ、どうしたん?」
「うーん。職場ですっごく大げさに言われて。それでもう参ってるみたい…」
「あらら。じゃあ、とりあえず休みなさい」

 そして、わんこはベッドで横になる。ふだんならここでもう一本、注射を打つところなのだが、さすがに今日はそれは出来ない。
 わんこの隣で、ワタクシも惰眠をむさぼる。

 ゆるやかに時が流れる。おだやかな秋の昼下がり。

 目が覚めると、すでに窓の外は暗くなっていた。わんこもむくっと起き出す。

「わんこ、どうした?」
「お腹、空いた」

 そういって二人で夕食の準備。たらふく食ったらまたごろり。その時気付いた。

「わんこ。これっていつもと同じやなぁ」
「うん、そうやね」
「ぜんぜん予防注射関係ないやん」
「うん、そうやね」
「わんこも、眠かっただけやないの?」
「うん。そうやったみたい。あはは」

 注射があろうと無かろうと、ウチに来てはとにかく寝るわんこ。やっぱりどうせならもう一本お注射しとくべきだった。そう、太くて固い自慢のお注射を。

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3太郎

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