足の指の間が痒くなる心意気

2002年1月30日(水) 「日活ロマンポルノ」


それは今は昔

まだこの世にAVが出始めたころ。

深芳野はもちろん、朝倉舞も小林ひとみも冴島奈緒もまだ存在せず。

どうやら「竹下ゆかり」という人が女王らしい、ということがうっすらと聞こえてくるかこないかの

アダルトビデオの黎明期。

世の男どものもっとも安価で手軽なハケ口はまだまだ「ピンク映画」でございました


ワタクシがちょうど思春期の終わりを迎えた、ある初夏の日曜日…

そういう神秘な世界を垣間見たくって高校のクラスのツレども三人で、

未成年者が法律により越えることを禁じられている一線を越えることを決断したのであります


ワタクシを除く友人が二人とも兵庫県方面に住んでいたため、

当時住んでいた大阪南部から片道2時間かけて、

兵庫県西宮市のとあるポルノ映画館までやってきました3太郎

ツレと合流し高校生男子三人で映画館の前に立ち尽くします

ドデカイ看板にはペンキでポルノ女優のあられもない姿態が描かれ

それとともに扇情的なタイトルがこれまたデカデカと!

そのあまりの迫力にすでに尻込みを覚えます

「ど、どうする?」

「ど、どうするって。こ、ここまで来たんや。このまま帰られへん」

「そ、そうやな。い、い、い。いくか」

「よ、四本立てか…うひ、うひひひ。早よ行こ、は、早よ行こ!」


声も上ずりまくって右手と右足とが同時に出そうな妙なギコギコ感とともに

しかし、本人たちは極めて何気なく装ってるつもりで、窓口へ…

ふと横を見ると「自動券売機」があるじゃないですか!

目を引いたのはしかも「学生」と太書きされたボタン

自動券売機ならノーチェックで、安く入れるのではないか!?

そうだそうだ、おおそうだ!

我々は喜び勇んでたった一つしかない券売機に群がります

「学生」のチケットを片手に入り口へ入り口へ…

と、そこには底意地の悪そうなモギリのおばちゃんが我々を待ち構えていたのです

我ら三人の顔はおろか、頭の先からつま先までネメネメと見回して一言ポツリ。しかし重く太く。

「…学生証」

あえなく撃沈…追加料金を払って「一般」としてようやく入場させてもらいました…


映画館の中はがらがら…最盛期を過ぎたロマンポルノの斜陽ぶりに

あわれをもよおす…わけもなく

もう、なにやら白いものが蠢いているスクリーンに釘付け

無言の中に熱い情熱と劣情をたぎらせた男三人

むっつり黙って互いに目もかわさず、スクリーンをにらみつけます


一本目…食い入るように夢中で見つめる!頭は興奮してアドレナリン出まくり。何も覚えていない。

二本目…やや冷静さを取り戻す。
(あ、あの女優!こないだ親の目を盗んでみた深夜のエロ番組「大人の絵本」に出てた…うわ。あんなこと。ホンマモンかな?いや、まさか。うわ。あの外人、変や。うわははは。お。おお!…うそ!あんなになるか?あ、3人で。うひょ♪あ、前に座ってたあのオッサン、トイレ行きよった。うわははは。それにしてもウマイこと隠すな。アレ、演技やろなぁ。あ、あ、あ。ええなぁ。あーくそくそくそ。)

三本目…だれてくる。
(…あの女優は見たことないなぁ…せやけどきれいな人やなぁ…ちょっと、年食ってるかなぁ…うわぁ!でかい乳やなぁ…あれは。ええなぁ…あ、さっきのオッサン、やっとトイレから出てきよった。わはは…せやけど。なんか、さっきのとどこが違うか判らへん)

四本目…ケツが痛い
(もう、飽きた。拷問や…ツラすぎる…全部一緒やんけ、こんなん…あ〜あ。こいつら熱心に見てるわ…せやけど、せっかく一般料金まで払ろうて入ったんやしなぁ…帰るのも、悔しい、よなぁ……………)


…やっと四本立てすべてを見終え、

ツレたちとなんとなく気まずい思いを共有しながら

映画館の外へ出ると、高かった初夏の陽射しもすっかり西へ傾いておりました

「…はぁ。…何ともむなしい日曜やった…」

ツレの一言を合図に肩を落としとぼとぼと駅へ向かって歩き出します


いつ降ったのか夕立で濡れた路面に西日が照り返して

妙に黄色くまぶしかったのを今でもはっきり覚えております…

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片言隻句

労多く 報われもせず とぼとぼと

歩くその先 10円見っけ♪
まうまうさま

落ちる夕日と 泪ひとつぶ
かあくんさま

いずれ気づいた 真実の道
ラキさま

しかし目線は 可愛い娘探す  3太郎
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