2002年1月29日(火) 「ある終焉」
いつも行く床屋が今月いっぱいで店を閉める
マスターとその奥さんの二人がハサミを振るう、庶民的な床屋
この半年でようやく馴染みになったばかり
いつ行っても空いていた
いつ行っても気取らず、媚びず、ただ黙々と客の頭を刈る
サービスはほとんどない
新しい設備も何一つない
パーマなんて出来もしない
料金はカット(←これしかできない)1,500円、シャンプー200円
待ち時間もなければ、カットも長くて30分
安くて、早い
それだけが取り柄で、それが最大のサービスという店だった
マスターは70歳、奥さんは60代後半
腰もしゃんと伸びて、手先もまだまだ達者。
まだまだイケるのに…と数多くはない常連客から惜しまれつつ、もう2,3日後には閉店する
インターネットと同じ
あるサイトにようやく馴染みになった気がしたとたん、閉鎖されて右往左往
常連になるのに、それなりに時間も金も費やした
いやらしい言い方だが、実際にそうでしょう?
さびしい、哀しい。でも、しようがない。
マスターはハサミを動かしつつ淡々と言う
「70になったら、たとえ元気でも辞めよう、と決めてましたんや」
かくあるべし、と思う
一つの目標、目的地まで達したなら、潔く惜しまれつつ去る
かくありたい
かくなりたい
いつか遠からず、この「隔靴掻痒」も店じまいするときが来よう
そのときになって、このマスター夫婦の後ろ姿をワタクシは思い出すだろう
できれば。
惜しまれるうちに。 |