耳の穴がカユクなる恋愛絵巻
第五夜 高校2年生夏 3太郎初デートの巻 その3 その日… 学校帰りに少しだけ彼女と会い、簡単な打ち合わせ ライブの曲名やユニット名の表記の確認だ そら、FAXもメールもなかった時代、「会わないと話せない内容」だわなぁ… なんだかんだと喫茶店でくだらない話をしていると、 「あの・・・よかったら明日、会わへん?」 ずいぶんほぐれた彼女はフツウにタメ口をきくようになっていた 「あ、ええよ。じゃ、もう少し早い時間に、ここで」 などと冷静を装ってはいるものの、もう心臓バクバクです なんつたって初デートですから! 婦女子と二人っきりで外出するなんて親戚を除けば初めてです またまた妄想に眠れぬ夜をすごしつつ、例のハウツー本をひも解く3太郎(←まだ早いよ) さあ、ネクタイなぞしてお出かけです 待ち合わせまでだいぶ時間がありますが、他に行くとこもないので例の喫茶店に 待つことしばし…少し早めに彼女もやってきました 「ごめ〜ん、待ったァ!?」 「いや、僕も今来たとこ…」 くぅ〜っ! 青春してるなぁ…まるで3文ドラマじゃねぃですか! ひとり感動していると、彼女がカバンを開け、 「あ、これ…」 「? なに?」 「クッキー、昨日焼いたの…」 ク、ク、ク、ク、クッキーッ! もう、3太郎クッキーモンスター状態です 興奮してます。 リボンをむしりとり包装紙を引き破り箱のふたを開けようとしたところで (ここは喫茶店だ…持ちこみはイケナイ)と踏みとどまりました(←いや、そうじゃないでしょ?!) しかし、包装紙を破ったとたん出てきた一枚の紙… 「こ、これは・・・?」 「お手紙書いたの…(*^.^*)エヘッ」 もう…たまりません。どうしてこの子はこんなにツボをついてくるのでしょうか! 一撃のイチコロです 「よ、よ、よ、読んでいい?」 「え? か、かまわないけど…」 ふつう、手紙って帰ってから読むからいいんでしょうし、彼女もそういう展開を期待してたんでしょうね 第一目の前で手紙を読まれるなんて、拷問ですよ なんて配慮不足だったのでしょう… なんだかぎこちないまま(僕は浮かれたまま)その日のデートは終わり 「またライブが終わったら会おうね」って約束したのに… やっぱりアレがダメだったんでしょうね… 結局N君にもあの子を紹介できず… 踏んだりけったりの3太郎の初デート、2回目のデートまでにはなお数年を要するのです… |