耳の穴がカユクなる恋愛絵巻   

この話(だけ)は本当にあった話です

第四夜 高校1年生秋
 3太郎、痴漢に遭遇す! 後編 

前回より・・・
 ドカベン香川君似の大男に電車の隅に追い詰められた3太郎
 3太郎の身体についに異変が・・・


「...あのぉ、今何時です、か・・・?えへっ」

「へ? あ、1時半です・・・ね」

びくくぅっ!
ナニカ太股ニ触ッテイルゾ、ア、動イテイルゾ、ア、ソレ以上イクトヤバイゾ
触ラレチャウゾ、握ラレチャウゾ、動イテイルゾ、デモコレッテイイノカモ、コレガ「イイ」トイウヤツナノカモ・・・


私が時計を見ようと左腕をこころもち上げ、

少し視線をそらしたそのホンのわずかの間隙をついて

男の右手が視界の隅で私の左太ももの上を徐々にセンター側へ侵入してくるのが見えました

ざわざわと、さわさわと春風のような・・・

それでいて毛蟲の這うようなおぞましさの入り混じった奇妙な快感が

太ももから全身に悪寒を振るい起こします

「う〜ん・・・高校生ぇ? うふふふふふ・・・」

うわ、た、た、た、うひゃぁ・・・

まるで北斗百裂拳を喰らったかのような叫びが頭の中にこだまします。

・・・が、身体はまったく動きを封じられているかのようでした

そしてそのとき!天の助けか!

どこかの駅についた!

電車の扉が開きます!

駅なんかどの駅だってかまわない!

とにかく逃げねば、逃げねば二度と帰ってこれなくなるぅ!

荷物をだき抱えて電撃的に立ちあがり、電車を飛び出しました・・・

タイミングよく扉は閉まり、ホモっちゃまくんのニヤニヤ笑いを積み込んだまま

電車はホームから滑り出していきました・・・

脱出成功・・・

プリンセス天功ですらなしえないであろう危地からの脱出に成功
したんだ

という安堵感でその場にへたり込みそうになりました

・・・もしかして引き返してくるかもしれない・・・

一瞬の安堵が引いた後、数倍もの恐怖感が津波のように押し寄せてきます

とにかくこの場を離れよう、ホームの最先頭にあたるところから最後尾まで移動し、

柱の影で次の電車をひたすら待ちます

電車がきた・・・

やっと安住の地を見つけたヨシュアのように、シートに身をうずめ、ため息をつく・・・

しかし頭の中はついつい、先ほどの事件へと考えがいってしまいます

なんて不幸な・・・ああ、なんて運の悪い・・・


それにしても・・・

・・・それにしても

・・・巧かった・・・

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