耳の穴がカユクなる恋愛絵巻   

この話(だけ)は本当にあった話です

第四夜 高校1年生秋
 3太郎、痴漢に遭遇す!


みなさん、痴漢に遭ったことありますか?

だれや、やったことあるちゅうやつは!前へ出ぇーい!刀の錆にしてくりょうぞ!   

・・・えーあーゴホン・・・

男性であれば、「痴女」に遭うこともあるかもしれませんが

私こと3太郎、
痴漢に遭いました。

ええ、ええ、ホモです、あれはきっとホモッっちゃまくんです

今でもあの悪夢の記憶は鮮明に・・・忘れようとしても思い出せるものではありません

「恋愛絵巻」ではございませんが、今日はそんなお話しをば・・・



あれは私が高校1年生の秋でした

大阪南部の自宅から2時間弱かけて大阪北部の私立男子校まで

大和川を地下鉄でくぐり、淀川を私鉄で渡りしてせっせと通い詰めいておりました


その日は中間テストだったかなんだったかで帰りが早かったのでしょう、

昼間の大阪市営地下鉄御堂筋線(そう、日本で1,2を争う
痴漢電車です)も珍しくガラガラ。

1車両に一人乗っているかいないか、という状態でした

私は隅っこが好きな普通の日本人ですから空いている車両にもかかわらず

車両の一番端の座席で、壁にもたれてウトウトと、いぎたなく惰眠をむさぼっておりました


・・・ふと、隣に誰か座った気配で目を覚まします。といっても目はつぶったままでした

「・・・こんなに空いてるのに・・・わざわざ隣に座るのは??」

いぶかしげに目を開き頭を上げ、首を90度左に回します


視界いっぱいおおいかぶさるかのように広がってきたのは・・・

1、山下清を演ずる
芦屋雁之介をいくぶん若くして・・・

2、
そこへ正面から
伊集院光をぶつけて・・・

3、
さらに昔なつかし南海ホークスの
ドカベン香川を上から押し付けて三段重ねにしたような

要するにおデブちゃんの、お世辞にも美しいとはいえない兄ちゃんでした
注! ここでは私の印象および主観に基づいて話を進めています。
    たまたま美男子ではない(ように見える人)が隣に座った、
    その人物は偶然にも太っていた、ということだけが事実であり、
    痩せている太っているという人間の外見のみを指して、
    わたしは人の美醜を判断するものではありません)


そのお兄ちゃんの
視界いっぱいに広がる顔で、

私の眼球はまるで恋の呪縛にかかったかのように

動きを封じられ視線をそらすことがまったくできなかったのです

うう、なんだこの圧迫感は・・・く、空気が・・・うすい・・・

いったい何分が経ったことでしょう、

はたから見たらきっと・・・

「目と目が合ったその日から、恋の花咲く時もある・・・」

という昔懐かしい
”パンチdeデート!”的な雰囲気であったろう・・・

そう考えるともう穴があったら入れたい、いやもとい、入りたい・・・


すると突然
ドカベン香川君が口を「にやっ」と開き・・・なんとも言えないかわいらしい声で

「...あのぉ、今何時です、かぁ・・・? えへっ」

びくぅっ!

その声に呪縛を解き放たれたかのように、わたしは反射的に左腕の時計を見ることができました

「う??へ? あ、1時半です・・・ね」

そう答えようとしたその時・・・!

びくくぅっ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さあ、どうなるどうする3太郎!

続きは・・・明日か?


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